1月26日(火) 広島市中区本川町にある本屋「READAN DEAT」で「山田洋次 作品集刊行記念展『LETTER OF SLIP』」を観る。

広島市中区本川町にある本屋「READAN DEAT」で「山田洋次 作品集刊行記念展『LETTER OF SLIP』」を観る。


雨が降っても歩いて行ける。狙っていた「READAN DEAT」さんで「山田洋次 作品集刊行記念展『LETTER OF SLIP』」を観る。


今回の記念展で初めてスリップウェアという言葉を知り、イギリス発祥のこの陶器の魅力に触れることになった。もちろん浅はかな知識では間違った内容を伝えてしまうから、印象としてギリシャの古い壺も想起させる図柄からすると、英国で生まれたにしてもルーツは他にもあるだろうから、説明はむしろ避けた方がよいのだろう。


陶磁器を鑑賞する一番の楽しみは目で観るよりも手で触るところにあり、信楽に住まいを構えるという山田洋次さんの皿のなかで、自分が最も惹かれたのは焼締めの器だ。アメリカ伝来の赤いスリップウェアやスタンダードらしい絵皿もいいが、まるで石器時代から存在する洞窟壁の記号による伝達のような風合いが良かった。表面の釉薬と革製品のような端の造形や、記号の羅列のような伝承の意味を持った赤もあり、もっともっと触っていたかったが、時間短縮と閉店時間の兼ね合いもあり、欲しい焼締めの小皿を諦めて見本のように文字の色の濃い小皿を買う。これは“tea time”と書かれているらしく、もちろんカリグラフィーとしての作風が前にある。


酒には1000円の差を気にせず財布を開けるくせに、どうして焼き物は躊躇してしまうのだろうか。形として残る方を好む気質もあるくせに、洋服でもついけちってしまう性状があるから不思議なものだ。


それでもやはり信楽の土による焼締めも欲しかったと思ってしまうが、その焼き物は、その土地で買うべきということで落ち着ける。店主さんの説明がとても勉強になり、触る欲求を満たしてくれたとてもよい作品群だった。

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