1月17日(日) 広島市中区中町にある醸し料理店「醸 はせべ」のテイクアウトを食べる。

広島市中区中町にある醸し料理店「醸 はせべ」のテイクアウトを食べる。


なにかとお世話になっている「醸 はせべ」さんのあて盛りをまた買って帰った。電話予約をした時にふと思ったのが、飛び道具を持っていると戦い方を柔軟に変えることができるという事実だ。そこで脳裏に浮かんだのが川原正敏さんの「陸奥圓明流外伝 修羅の刻」のとある話で、逃げてばかりの飛び道具をやめて、アメリカの大地で肉弾戦をする場面だ。刀が正々堂々としていて、種子島は臆病な武器とは言えないが、離れて撃ってくるのは厄介に違いない。


話の流れが逸れてしまいそうなので思ったことをそのまま言うと、“ようちゃんいか”と“まるがり味噌(仮)”という離れ技があると、それぞれ時限式の効果を持って各家庭で威力を発揮する。それは吉良吉影がストレイ・キャットの能力を活用して、直に触らずにキラークイーンの爆弾を飛ばすことを可能にしたように、お店の中で直接の醸し技に酒を進めることとは別に、離れたところでも熱燗をぐいぐい飲ませる別の方法があるということだ。


前回の“ようちゃんいか”は何度家で一人味をしめただろう。再販を期待していたら“MIX”が登場して、納豆昆布や数の子も入ったニューバージョンとのことだ。ザリガニのようにそれに釣られて店にくれば、ついつい豆カレーも買ってしまう。要するに富んだ仕掛けに引っ張られたかたちだ。


他のお店でも独自の武器はある。燻製のチーズケーキや持ち帰り可能な焦がしやきそばなど、パッケージもこだわっていればそれを求めて他も買ってしまう。


そんな目に見える凧糸の先をハサミでつかみ、今回もあて盛りを楽しませてもらう。なんといっても大将の料理は美味しく、面白い。人参、豆、ほうれん草、カボス寿司、その他もろもろ、今回も味わったことのないアイデアの具現化に味が鮮明と映り、牛肉の使い方と見せ方に別の一面も覗かせる。そして豆カレーの各風味の損なわれない調和の美味しいこと。スパイスで内に向かって混同することなく、それぞれの素材がこれから時間をかけてぶつかり、触発して丸みを見せる前のフレッシュな輪郭でスタートしたばかりのようだ。


このカレーはすこし寝かしても面白いらしい。イカに釣られてまたまた味を知る。そんな流れがとてもいい「醸 はせべ」さんだ。

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