1月3日(日) 広島市西区横川町にあるベトナム料理店「ベトナムキッチン広島店」のバインチュンを食べる。

広島市西区横川町にあるベトナム料理店「ベトナムキッチン広島店」のバインチュンを食べる。


「こんなものがあるんだ……」バインミーと一緒に妻が買ってきた正方形の葉の包みに驚いた。手に持つと鉛のようにぎっしり重箱並みに重く、1000円もしない価格が信じられなかった。


「ちまきらしいよ」という声に、「確かにちまきっぽいけど……」このサイズは何だろうか。昔山形出身のご近所さんがくれた笹巻きではなく、バナナの皮で蒸す中南米のタマルでもなく、ネクタイを頭に巻く酔っ払った亭主が紐を指に摘んで持って帰るような代物は一体なんだ。


包みを解いて広げると四角い黄色の固形物で、切ると中身がぎゅっと詰まった断面図で開かれた。8分の1にカットしても重く、室温で噛み付くと「おおぉ、硬い」、鶏出汁の旨味をたっぷり吸収したもち米は芯が残る程度で凝固しており、「なんだろう、中は鶏か、豚か……、これは栗か」と謎は深まるばかり。もう8分の1はレンジで暖めると、「ほおぉぉ、美味しい」適温にほぐれて味は広がるばかり。


初めて食べたベトナムの旧正月の料理であるバインチュンは、見た目通り重たく、「苦しい、けっこうあとに残るね、苦しい、」と、夕食後の二人の腹に居座り続ける立派な物体だった。

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