11月21日(土) 広島市中区本通にあるコーヒー店「OBSCURA COFFEE ROASTERS Hondori」で「コーヒーと鳥取の手仕事展 2020 Vol.2」を観る。

広島市中区本通にあるコーヒー店「OBSCURA COFFEE ROASTERS Hondori」で「コーヒーと鳥取の手仕事展 2020 Vol.2」を観る。


コーヒーを手に飲みながらではないが、少し置いて鑑賞できるので「コーヒーと鳥取の手仕事展 2020 Vol.2」を観た。


福光焼、牛ノ戸焼、おぐら屋、延興寺窯、久古窯、ドモク堂、国造焼の作品が展示されており、普段お店でも拝見する器もあらためて直に触れることになった。


ドモク堂の木工作品は、最近斉藤正明さんの作品を観たばかりなので、単純な比較をすることになった。まず目についたのが彫刻刀の痕で、斉藤さんの作品でも第一印象となっている鱗のような模様は、日頃木工作品に触れていないのが理由だとしても、つるつるすべすべの漆塗りではないこのような面取りの品に触れた経験が少ないと気づかせられた。これも味わいなのだろう、電動ミルの蓋のつまみ以外は桜が使われているらしく、フォークやスプーンは漆が塗られていても、他は木材の素地となっており、やはり触れば木目がそのまま手に感じられ、香りも移る。


窓際に置かれた国造焼は淡い表面の色合いだが、手に取ればシンプルながら手作りとしての厚みが感じられ、白飛鉋という技法の説明通り小鹿田焼の特徴が薄く表れている。この線の調子は深さは異なるもののドモク堂の蓋上面の筋に似ていて、いまさら彫刻刀の持つ意味を知らされるようだ。


OBSCURAと鳥取のつながりが始まった福光焼きのおおらかな味わいや、色の濃淡に深みのある延興寺窯の釉薬など、境港以外知らない鳥取の手仕事は幅広くあり、萩や唐津など有名な産地以外の知らない場所で人々は技術を磨いて多くの人と関わっていると、作品の一端から感じられる。


まるで本屋のようだ。人間一人の人生はあまりに短く狭く、本にしても器にしても、多くを味わうにはまるで叶わない。昔はそこから諦念を生んでいたが、今はあきらめのなかで少しでも触れればと、余計を削るよりも、生活に余分を生み出してばかりだ。


そんなわけで陰陽のように面の感じが異なる牛ノ戸焼の豆皿を買う。大きい皿やカップは持て余す。豆皿ぐらいが自分の生活にちょうどよい。

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