広島市中区猫屋町にある喫茶店「矢馬野」で焼肉定食を食べる。

土曜出勤の十日市探訪は定食があるか気になっていた「矢馬野」に入った。

きれいに磨かれたガラス窓が透き通る店内は、カウンター奥に緑のタイルが貼られ、アルビノらしきふっくらした金魚が小さい水槽を泳ぎ、眼鏡のない目は壁面の絵にロートレックらしきタッチに闘牛というピカソらしき題材を見る。

焼肉定食は肉の量が多く、実家でときおり出ていた料理に似て甘辛い。汁は味噌の薄めに出汁がよく見えて、たくあんをぽりぽり鳴らしながら箸で皿のごはんを食べる。

廣瀬神社でも空鞘神社でも御幣がまわり、どこの軒先でも空気の冷たい今日は風に揺れるだけでなく、キュロットのように分かれた足が交互に駆けている。向きの悪かった物々は昨晩からの雨で地に墜ちている。毎年の光景だ。

純喫茶らしい店内には煙草が焚かれ、コーヒーと一緒に名前の並んだ映画があったような。似ているのは煙だけだろう、相性が良さそうでも最近の浅い味には合わないか。

外は冷えても気分はそうならない昼ご飯となった。

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