10月5日(月) 広島市中区本川町にあるラピスギャラリーで「rika kitai exhibition」を観る。

広島市中区本川町にあるラピスギャラリーで「rika kitai exhibition」を観る。


近所にギャラリーがあると、仕事帰りに寄れるので得した気分になる。


昼よりも室内の灯りに占められる部屋には、アンティークの基調を持った器が置かれていた。銀銅色の深みを持った器を手に取ると、メタリックな見た目よりも軽く、高温で焼成した重みのある陶器という先入観と異なっていた。もしかしたらアルミのような軽い金属かと思われる質量だが、やはり陶器らしく、先日に「ref.」で触った濱中史朗さんの作品とすこし肌合いが似ていたので、滋賀あたりを拠点にしているのかと尋ねたら、大阪らしいので、知ったかぶりの関連づけはあてにならなかった。


鋼よりも金色を含んで釉薬の垂れる部分もあるが、素地はやや粗めの土だろうか。白地もかすれた色合いが古風で優しく、これらの器で茶を飲む会も催されるそうだ。突如としてぐい飲み集めに火がついたので、茶器として作られたという胴の長い小さな器を購入する。


壁にはうすいみわさんの銅板画作品も展示されていて、和紙を凍頂烏龍茶で染色して、詳しい手法はわからないが各植物を使って形態を写し、そこにアルファベットの書かれた紙などをコラージュしている。ここにも古いフランドルの画家を思い出す銅板画らしい古風な色合いがあり、化石といえば誇張になるが、平面に写りながら遠い記憶を持ったような形状の静けさがあり、どことなく懐かしく、いくぶん悲しさも覚えてしまう柔らかさを持っていた。


和紙を染色する烏龍茶も飲んだのかと、とち狂った言葉をつい発してしまったが、器も銅板画も鉄分をもって落ち着きをもち、これに香りと味が加わったら、三位一体としてそれぞれ統合した味わいが強い情感を与えてくれるのだろう。とりあえず、買った器に日本酒を入れて味わうことにしよう。

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