10月4日(日) 広島市中区上八丁堀にあるギャラリーGで「久留井 真理 花の日々 原画展」を観る。

広島市中区上八丁堀にあるギャラリーGで「久留井 真理 花の日々 原画展」を観る。


手足の不自由な画業とあり、それがどの程度か考える前に作品を観ることにした。


花はわりと好きだが、花の絵はそれほど好きと言えないのは、本物が優れて綺麗だからだろう。水彩画を観ていてまず気になったのは、画題とする植物の多様さよりも作風の幅の広さで、水彩画だから輪郭はくっきりしないなんて勘違いしそうになりつつ、色彩が沁み入るような奥行きを持っていると思った。画家の背景を知ったから繋げるのだろう、色を大切にする想いがしかと込められているという感想が。


構図も正面や真上からあり、桜ならばありがちな花弁ではなく、秋に色づいた葉やこんもりしたかたまりとしてのピンクなどがあり、図形として葉と花を全体にデザインしたような作品もあれば、燭台のような象徴としての木々もあり、その植物の普遍的なイメージとは異なる別の面を描いている。それらはいい加減に絵筆を動かすところなく、そうできないからかもしれないが、細密に筆が置かれていて、図案やイラストのような人の手による優しい規則が備わっている。


鑑賞の後にどれほどの事故だったか知ると、受傷後1ヶ月間呼吸器を着けていたという頸髄損傷らしく、自分の想像などなんら及ばない。


最終日の今日は人が大勢集まっていた。展示されていた作品数も少なくないが、おそらく連日多くの人で和んでいたのだろう。マイナスがプラスになるなどと健常者はたやすく言えないが、間違いなく力と希望をもらえる原画展だ。

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