10月4日(土) 広島市中区東白島町にあるイタリア料理店「PERO」でランチをとる。

広島市中区東白島町にあるイタリア料理店「PERO」でランチをとる。


前々から訪れてみたいと思っていた「PERO」さんに寄ってみると、開いていたので、予約なしでも入れるか尋ねたところ、カウンター席に座らせてもらうことができた。


料理は1品から注文するとのことで、コースだと思っていた自分はどれも美味しそうなメニュー表と睨み合って何にするか決めた。


赤ワインはシラーズとグルナッシュのフランスワインで、口当たりのシャープなベリーの突き抜ける中にタンニンが下支えしていて、近頃飲んだなかでもっとも美味しいワインだった。


仔羊のグリル栗とゴルゴンゾーラチーズソースは、見た目通り最高の味だった。仔羊の匂いが小さくやわらかく、桜の印象を受ける香木のようなレアな中心部分の味わいが口に溶けてしみわたり、外側のミディアムなところには落ち着いたチャコールという言葉が浮かぶような焼けた肉特有の旨味と香りがあり、外側の脂は甘みに野暮ったさがなく、全体に非常な香り良さが豊かにあった。ゴルゴンゾーラチーズソースは夏場も過ぎたので、フレスタに買いに行こうと思わせる臭みの穏やかなコクのある味で、渋皮をまとった栗は外の食感と風味も楽しめる二重の仕上がりだった。そしてクレソンは茎からたっぷり尖らない辛みが味わいを締めていた。


合わせた自家製フォカッチャは外側が分厚く歯ごたえのある食感で、控えめながら繊細に薫り高いオリーブオイルが染み渡り、中は柔らかながらやわな感じではなかった。


こうなるとデザートも食べたくなるので、紫いものマスカルポーネチーズケーキを追加する。クリーミーな食感だが、芋特有のねっとりした質感も備えており、口当たりは柔らかで落ち着いた紫いもの風味がやさしく広がっていき、口の温度と唾液に溶けていくとチーズの風味が開けて泡立ち、濃くないチーズケーキにコーヒーも頼めばよかったと少しのケチに後悔する。


カウンター席に座りながら他のお客さんに出される料理を鼻にかぎながら、のんびりしつつ猟犬のように肉をむさぼる昼の食事となった。仔羊に食べ慣れていないので、鶏の骨のように軟骨部分を歯でそぎ落とし、噛み砕こうとしても砕けなかったので、子供でもほ乳類の骨は硬いのだと知った。パスタもいかがですかと言われたが、さすがに、これだけで腹も気分も大満足してしまった。

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