9月26日(土) 広島市西区楠木町にある郷土料理店「やせうまだんご汁とおやつ 日日花」で玉子だんご汁ときなこやせうまを食べる。
広島市西区楠木町にある郷土料理店「やせうまだんご汁とおやつ 日日花」で玉子だんご汁ときなこやせうまを食べる。
西区民文化センターでの落語の後に時間があったので、昼時をずらせば入れると聞いていた「やせうまだんご汁とおやつ 日日花」さんに寄ってみたら、待つことなく入店することができた。
白い壁面と明るい木材の健全とした店内は「あかいはりねずみ」や「しまのぱん souda!」さんを手がけた建築家さんによる仕事らしく、どこかでそれぞれを知った思わぬ縁をここでも聞くことができた。
玉子だんご汁を注文して、小さじにある柚子胡椒を溶かす前に汁を口にした。柔らかい旨味たっぷりの白く華やいだ味に野暮ったい重たさはなく、冬よりも春夏秋の室内に凍える自分の体は先ほどまでの落語で冷えていて、汁によって身内が暖まり始めた。偏平のだんごを口にすると、この近くにある刀削麺を思い出すが、それよりも表面はつるっとしてコシよりもなめらかな食感があった。
さらに思い出してしまうのが高校の時の選択授業の料理で、生徒それぞれがレシピを決めて料理を作る課題があり、オムライスやカレーなどを仕込む中で自分一人ほうとう汁を作り、煮干しの頭をとらずに出汁をとったものだから生臭く、また麺もかたく、なにより友達のいなかった自分は一人必死にうまくないほうとう汁を食べた。
辛みと強い鮮度を持った柚子胡椒を溶かし、かぼすを絞る。それでも汁に変なくせは出ず、それらの風味をうまくまとめている。椎茸はいわずもがなの旨味があり、細長いゴボウも土の香りがしかと生きて、油揚げは汁とやけに仲が良い。薄い人参の歯ごたえもよく、高菜と白米はそれだけで有無を言わせない。
おやつにきなこやせうまを食べると、おなじ麺かと驚く完成度だった。汁に入っていると食感はまるで異なるがちくわぶを連想してしまい、こちらは信玄餅で、それを訊ねるとパンナコッタに付いてくる揚げたものはまた違う味わいらしい。ふと思い出したのが昨日のサワラや金時草で、調理によって変化する素材の面白さをここでも飲み込んだ。
スタイリッシュな店内ながら暖かみがあり、どことなく落ち着けるのは、やせうまだんご汁という郷土料理もさることながら、それをここで生み出す店主さんの人柄が隅々に通っているからなのだろう。もちろん心身は温もったから、次はカレーにパンナコッタと考えつつ、二色おはぎを持ち帰る。
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