8月10日(月) 広島市中区袋町にある立ち飲み店「LEMON STAND HIROSHIMA」で飲んで食べる。

広島市中区袋町にあるバー「LEMON STAND HIROSHIMA」で飲んで食べる。


「BIER LOVEN」を出て夜の紅茶を飲みに歩くと、立ち飲み屋の中にエゴン・シーレ好きの知った人を見たようで、踵を返して覗くと、その人を確認する途中で「一杯いかががですか」のように書かれた紙を見せられ、入店することになった。


人違いによって入った「LEMON STAND HIROSHIMA」で、男前の店員さんに勧められるままレモンサワーと岩牡蠣を注文する。この店は休日にだいたい通る場所なので知っていたが、レモンサワーに対して無反応の自分には縁のない店だと思っていた。それは、仮にハイボール専門店があれば、およそ行くことはないと思われる好みの違いが大きく、サワーならばロックの焼酎を、ハイボールならロックのウィスキーを間違えることなく飲むだろうから。日本酒やワインと異なり、度数の高い酒はそのアルコールの量に味わい深さがあり、薄まってしまっては口当たりと喉越しが物足りない。


そんなわけで、学生時代の飲み会以来のレモンサワーは、安い焼酎と平凡なレモン汁の配合と異なり、尖った悪酔いイメージの味ではなく、丸みと甘さを持った品のある飲み物となっている。ただ、これはあくまで自分の好みの感想だが、レモンサワーという枠組みに限界を感じてしまい、これを飲むならば、この値段で悪くないウィスキーを頼みたくなる。それは、風味の持つ強さと、酒の持つ独特な大物らしい味わいが弱いからだろう。


海をそのまま巡る鮮烈な岩牡蠣を食べ、シーズンはもう少し先なのかと尋ねると、やはりそうらしい。ではあまり良い時期ではないのかと考えるが、わからないから別にいいだろう。


人違いに誘われて入り、ひょんなことがなければ味わわないであろう飲み物を体験した。メニュー表を見ていると商品と値段設定に逸脱を感じるところもあり、ただの面白さではない確かな味はあるのだろうか。とても頼めない値段となっているのでさすがに経験することはないだろうが、物の価値と値段をすこし考える店となり、良い時間になった。

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