8月1日(土) 広島市中区榎町にあるカフェ「小春カフェ」で豚のしょうが焼定食を食べる。

広島市中区榎町にあるカフェ「小春カフェ」で豚のしょうが焼定食を食べる。


以前担当だった運送会社の人に1年半ぶりに会い、「めっちゃ髪伸びましたね」と言われ、頭のなかで「すごい腕が太くなっている」と男前の相手を思った。


「小春カフェ」を訪れるのはそれよりも久しぶりで、今回で2度目となり、この界隈で優れておいしい食事を提供していると初めて知った。


ちょうどカウンターに席が空いていたので、待つことなく豚のしょうが焼定食を注文した。味噌汁は具がたくさんあり、粒の残る濁った汁から甘い香りが漂い、シメジや白菜にエノキダケが溶けている。鰹節のほのかなツルムラサキのおひたしはぐっとくる強い風味が残り、細かく刻まれた大根のサラダは手作りらしいオレンジ色のドレッシングがとてもおいしい。漬け物は甘みがあるものの既製品ではない旨味もあり、角切りのベーコン入りのカボチャサラダはスライスされたキュウリとタマネギの食感が艶やかながら、重さを和らげたなめらかな舌触りとなっている。そして一枚が広くある豚肉は、切れ端でない肉の味がたしかにある。


カフェという名が付けば、それなりに洒落た雰囲気でも身にまとった気にもならないほど巷には多くあるが、この店の味は居酒屋や和食店とは異なるまさにカフェらしい味の良さが出ている。味噌汁やドレッシングはさぼりやすく、香の物も市販に頼りたくなるが、この店は怠ることなく作られた手間の味わいがある。


そうなるとデザートも気になるので、かぼちゃプリンも追加すると、舌触りに粉っぽさを持ちながら、卵との相性に同化したカボチャの甘みが静かに生きている。どちらにも偏らない配合の妙こそこの店の食事の基本と思われるほど、作り手の神経が表れている。カラメルは鮮度があり、プリンはたっぷり量がある。ごはんをおかわりしなくて正解だった。


「サザエさん」を前にカウンターで黙々となるほど味わいがいのある食事となり、さすが有名なだけあって堂々たるカフェだった。自分の訪れない間に変化があったというよりも、定食を口にしていない印象をそのまま持ち続けて、とても狭い一面だけで店を知っていたのだろう。デザートだけではない、定食もおいしくいけるのだ。

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