6月28日(日) 広島市中区本通にある百貨店「広島PARCO」8階のイスに座る。

広島市中区本通にある百貨店「広島PARCO」8階のイスに座る。


わざわざ座る場所を探しにパルコ内を移動した。本館から入り、地下を巡り、それから9階まで移動してから、新館へ移り、タワーレコードを降り、無印良品のフロアがあるトイレの前のイスに座る。ふと思うのは、地下でもそうだが、イスに座ってスマホをいじり、短くない時間を過ごす人が少なくないことだ。はたから見れば自分などは小さなパソコンらしき機械に入力して、一風変わった人に見られるが、他のベンチやイスと異なり、パルコ内は座って時間をつぶす人が多い。これは特殊なブランド力を持つ場所だからだろう、猫背よりも蛇の鎌首のように顔を落としてスマホをつつき続けるマスク姿は長くあり、今も、座る場所を探しに来た若い女性と目を合わせたばかりだ。


今日は開くタイプの携帯電話から開くタイプの携帯電話に機種を変えた。数年ぶりにドコモショップに行き、機種変更の手続きの所要時間を尋ねると、案内までに約30分、手続きに約30分と言われ、映画鑑賞前の時間に合わないので、出直してみると、カードを抜き換えるだけで完了らしく、事務手数料なく、10分もせずに済んでしまった。


スマホは自分にとってテレビのようだ。必要以上の機能があり、煩わしい情報が簡単に手に入る。NHKのクラシック音楽番組や古典芸能以外観ないように、携帯電話にはメールと通話以外の機能を求めない。旅行をしているわけではないのだ、そんなに差し迫って情報を得る状況に陥ることはなく、家に帰れば事が済む用事ばかりだ。大切なのは多くの機能を持った機器を保持するよりも、柔軟に対応できる機能を自分に宿らせることで、ミニマリストというわけではないが、自分の感覚を日常で大切にしたいものだ。そうなるとなるべく外にいる時は、五感を主に現在の時間を味わい、自身の肉体とそう関わり合いのない情報は特に欲することもない。これが自分の活動形態の基本であり、周りがスマホを触っているからおかしいなどではなく、ただ単に異なるだけなのだろう。


ドコモでは2026年まではスマホでない携帯電話を使えるらしいので、その時が来るまでは今の形が続くだろう。故障しても、今回のように代替するだけで、いらない機能の為に余分な金も払うことはない。ただし、期限が切れれば、素直にスマートフォンを持つことになり、ペイペイをまず使うことだろう。


スマホはまるでパルコのよう、なんていえば、よくわからない。ただ、町田のルミネのエスカレーター乗り場近くに座り心地のよいソファーがあって、そこからの眺めが好きだったから、そのような場所がないかとちょっと探してみただけだ。


家には旅行中に購入したのも合わせて4台のタブレット端末があり、アイポッドタッチが2台、アイポッドミニも2台ある。デジタル機器の苦手な時代遅れとは思わないが、進めば進むほど、無駄と思える機能ばかり増えている気がする。それは子供の頃、ラーメンの丼にサランラップして配達する近所の中華料理店が、現在広まっている宅配サービスなんかよりもはるかに質の良い配達をしていたようなもので、今に始まったことじゃない。むしろ事故が増えて、価格も上がって、衰えのような気がしないでもない。


とはいえ、人は人で、世界は世界だ。周りは気にせず、パカッと開く動きとデザインが好きだから、今はこの巨大な亀の有名な島の名を冠した携帯電話で、身近な人と連絡がとれればいい。それはおそらく、なかなか変わらない。

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