6月25日(木) 広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーでベルトラン・マンディコ監督の「ワイルド・ボーイズ」を観る。

広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーでベルトラン・マンディコ監督の「ワイルド・ボーイズ」を観る。


2018年 110分 白黒・カラー Blu-ray 日本語字幕


監督:ベルトラン・マンディコ

出演:ヴィマラ・ポンス、ポリーヌ・ロリラール、ディアンヌ・ルクセル、アナエル・スノーク


上映開始15分後に入場した影響はあったらしい。上映後にパンフレットに記載されている内容を確認して、5人の少年がなぜ船長に預けられたのか知ることになった。ただそれは説明でしかなく、どのような画面でもって語られていたのか興味のあるところだ。


終盤へ続く活力の衰えはやや見られるが、この作品は耽美に尽きる。もしくは冒涜の魅力や、暴力や無為の礼賛のように、快楽のみを主題にした映像美の追求のように感じた。


好き嫌いは分かれるかもしれない作品を前にして、自分の趣味としては決して悪い印象は受けなかった。チープとはいわないが、ある線を越えてコメディのようなユーモアを宿してしまうシーンはあるものの、挑戦的な作品への意図が全力で注がれているので、作り物の男性器が落ちるシーンなどには呆然となるが、そのあとの汚辱に向かうやりとりなどは、真に迫る卑猥さと残酷さがあった。


登場する少年が少女か判別しないが、どの人物も見事なまでに美しく、伝記や説話のような印象を持ったモノクロ画面のなかで顎のラインや虹彩の透き通り、鼻の高さや目つきの高慢さなど、どれもが魅惑的な水準を持っている。


物語としての落としどころを気にしてしまったが、あらゆる最高を求めなければ、美点のみを、好むべき特徴として味わうことができるだろう。性の境界に向かうような蠱惑的な美の概念を映像に表したこの作品は、過激で滑稽であるからこそ、どことなくではなく、純然と惹かれてしまう。

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