5月5日(火) 広島市西区横川町にあるスペイン居酒屋「peperone」で日替わりパスタランチを食べる。
広島市西区横川町にあるスペイン居酒屋「peperone」で日替わりパスタランチを食べる。
今日は空気が乾いていて、陽光の鋭さと強さは地中海沿岸のようで、光が多くをさらけだしている。午前中に読んだ蓬莱竜太さんの戯曲「エネミイ」にフラメンコを踊る母親のシーンがあったので、それが根拠となってこの店に入らせたとは言わないが、店内でゆっくり昼ご飯を食べたかった。
あとから入ってきた一組だけで、他に客はいない。横川駅近辺もシャッターが目立ち、あたりまえのように人通りは多くない。外よりもはるかに静かで涼しい店内で、パスタランチを注文する。
フラメンコは情熱的なんていうが、操り人形らしく思う。それは運命という糸車で回転される休みようのない人生の翻弄そのものだ。
細いパスタのトマトソースは輝かしい明かりはない。奥に向かうようなトマトソースは落ち着いていてほうれん草も節度のある味だが、作りたての熱さが口のなかに空気を必要として、ひょっとこのような顔になる。まず運ばれてきたのが出汁の暖かい大根とあっては、和洋折衷とはいわず、あるものを提供する形のようだ。残酷な血しぶきを想起させる牛のフラッグがあるも、壁のメニューにはエイヒレなんかもある。
闘牛を、野蛮、可哀想などというが、もっともの意見だろう。その上にあるあの残酷な儀式は様式美に優れていて、足の揃った闘牛士の豊かな尻と眼差しを見てしまうと、独特の美しさに魅了されてしまう。
あれは危ういところに立っているのだ。それが綱渡りの人生などとは言わないが、危うさはどこに潜んでいるかわからない。とにかく、スパゲティのテイクアウトはあるだろうが、できたてはおいしい。
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