5月3日(日) 広島市中区紙屋町にある台湾茶店「貢茶(ゴンチャ)紙屋町シャレオ店」のウーロンミルクティーを飲む。

広島市中区紙屋町にある台湾茶店「貢茶(ゴンチャ)紙屋町シャレオ店」のウーロンミルクティーを飲む。


別に連休を中華色に染めたいわけではないが、気づけば今のところそうなっている。人の少ないシャレオを歩いていると、だれも並んでいない行列の店を見つけた。台湾や香港で飲んだタピオカティーは美味しいけれど、並んで飲むほどではないと人溜まりを避けるように横目で見ていたが、これなら買えると思い、飲むことにした。


二郎系ラーメンの注文ならわかるが、いまだにスターバックスでも戸惑うことがあるので、この店は全然わからなかった。ドリンクを頼めば勝手にタピオカミルクティーになると思って、「ウーロンを1つください」と伝えると、味やトッピングを聞き返されるので「全部ふつうでおねがいします」というと、氷の有無も訊かれたので、「氷はなしでおねがいします」と答えると、+70円という不可解な返答になるが、その価値はあると思って頷き続ける。すると300円という看板を頼ったウーロンは、ウーロンミルクティーMサイズのシロップレギュラーにアイスゼロにパールがついて560円となり、まあいいやと、ついでにレジ横のパイナップルケーキとマンゴーケーキも買う。


流行は嫌いなくせに、流行りだして3年は経つだろう革ジャンをブックオフで今季購入するような男だ。巷ではGジャンを見かけることが多いのに、流行遅れに気分が良いのか、それともただ鈍いだけなのか知らないが、タピオカティーをいまさら飲むのも同様だろうかと考えれば、所詮まわりまわってくる流行りものだから、高校生の時にエンジニアブーツと革ジャンが好きだったから、その名残で、台湾と香港も八年ほど前に行って飲んだから、先取りなどと、まるで意味がない。


ところがいざ飲んでみると、こんなに美味しいのかと驚いた。たしかな香りある茶の味わいに、濃いがすっとする微笑みのようなミルクが明確に持ち味を保ちながら一体となり、なによりもただ弾力があるだけでなく、外側の溶けていきそうな柔らかさと細密に変わっていく中心への固さが繊細で、澱粉そのものの味わいがこれほどよいのかと小粒の餅を何度も噛みしめる味わい深さがあった。氷をなしにしてよかった。邪魔になってしまう。


並ぶだけあると納得して、家に帰って2つのケーキを食べれば、予想していた通り本場の味ではなく、本場でも上質の味わいとしてある優れたお菓子だった。「台湾のパイナップルケーキには冬瓜も使われているんだよ」なんて教えてもらえば、たしかにマンゴーケーキの裏に記載されていて、あのしっとりした風味の高さの食感の理由がすこしつかめた気がした。ちなみにこのパイナップルケーキには使用されていなかった。


並ぶ人を少し違った目で見ていたけど、人々の足と舌は間違っていないらしい。

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