前のエピソード――４月２０日（月）広島市中区中町にある居酒屋「菜づけ百屋中町本店」のテイクアウトを食べる。

広島市中区本川町にあるパブ喫茶店「fin.kissa」のテイクアウトを食べる。

人はすぐに慣れて、頼ってしまう。今日はどこの店のテイクアウトを配達してくれるのだろうかと、終業時間に近づいて携帯電話の振動を待つものの、震えない。１５分前になり、催促の電話をすると、急ぎの用があったらしくすでに帰宅していた。

ケーキを買って帰ろうと思っていたので、それを持って家に戻ってから近所のお好み焼き屋さんに頼もうと考えていたら、「fin.kissa」があった。

ということで、タイミングよくカレーを注文して、ついでに頼まれたチョコレートケーキも買って帰る。メインもデザートも難なく済んでしまった。

そんなわけで、今日は自分が配達の役割を担い、空腹に待つこともなく、昨日の疑心暗鬼もおらず、１０時間眠って得た活動力で夕飯をいただく。快調だ。

こんな状況になって遠ざかっていたが、この店が近所に開店したことをいまさらに有り難く思えた。前回はあいがけカレーの、シーフードにきのこと野菜を頼んだが、今日は本日のカレーであるサグカレーと、チキンカレーを食べた。インドカレー屋で注文するよりも量のあるサグカレーは、ねっとりしたペースト状にほうれん草やその他の風味が大量に詰められていて、香る草という言葉が適合するほど存分に素材が使用されている。薄めることやはぐらかすことのない、手抜きのない濃い味わいだ。チキンカレーは、とにかくおいしい。チキンそのものの味わいはさることながら、柔らかいが繊維のある食感がよく、肉は大きく食べごたえがあり、カレーの上品で豊かな味わいは、近所にあるいくつかのカレー屋への足を完全にストップさせた。

この店は生のギネスが飲めるから好ましかったが、初めに好感を持ったカレーそのものの味の良さがどすんと来た。もう近所の他の店には行かない、カレーを食べるならこの店以外にはない、そう断言してしまうほど美味しいのだ。

そしてチョコレートケーキは、今までに味わったことのないしっとりした口溶けと、率直に感激させるチョコレートの味が、どこまでも濃く口に響く。これも他にない、かなり美味しいできあがりだ。

ぜひ長く店があって欲しいと思うだけでは勝手だろう。本当に美味しいカレーというよりも、珍しく好き好んでしまう店だから、また食べに行かなきゃ。