2月26日(水) 広島市中区本川町にあるケーキ店「メゾン・ラブレ」のモンマルトルとマルセイユを食べる。
広島市中区本川町にあるケーキ店「メゾン・ラブレ」のモンマルトルとマルセイユを食べる。
難しい時世だと思う。自分の理屈を持てば根性論のようになり、不安を持てばどこまでも広がって落ち着かない響きがある。直接の影響を受けていない者にはやはり一昨年の花粉症のように思えるものの、予定の立っている者にとっては揺さぶられてばかりで、気がかりがとれない。宙ぶらりんのようでありながら、斜めにロープは結ばれていて、避けがたい結末へと徐々に下っているようで、行き着くところは決まっているようにさえ思える。
本当に難しいと思う。その難しさにどう向き合えばいいのか。台風でさえ毎日天気図をクリックして煩悶していたのに、そんな自分が何を言えるか。火に油を注ぐのが得意で、特効薬と思い込んで相手の傷口に塗るも、適度な消毒薬ではなく、スピリタスのように着火すれば燃え上がるような度数でお構いなしにかけまくる。それでいて、だんまりを決めれば中庸にいかず、極端に口を閉じて反作用の回復薬でもって苛立たせる。
それでも口を閉じるのは最悪な選択にはならない。せいぜい悪いぐらいでおさまるだろう。それでも経験からの予測は間違っていないようでも、どうも誤解しているように思え、もう少しなんとかできないものかと、あとあとになって光景が鮮明に蘇ってくる。悪いことをしたなぁ、そんな気分に終着する。
そんな時はスウィーツを買う。それが何の足しにもならず、解決にならなくても、美味しいものは大切なのだ。
子供だましのケーキで騙されればいいが、そうもいかないだろう。おそらく、帰ってくる頃には人との出会いに感動して、すでに別の気分を持って来るだろう。それが人とは異なる感受性による特別なコミニケーション能力として、想像を超える結びつきを生んでいるのだから。
とはいえ、ケーキは待つものでないから、いつもどおり先に半分いただく。
モンマルトルは、トップに宝石の深みを持つマロングラッセに、渋みよりも甘みのあるキャラメルソースが流れ、クリームはミルキーで油分のある舌触にでココナッツファインが混じり、栗もある生地を一緒に食べると、バクラヴァのような気品のある高い甘味の調和が感じられる。
マルセイユは、ホワイトクリームが滑らかに溶けて癖はなく、銀玉はかじるとミントらしく、黒砂糖を想起させるコクのある生地にはウエハースの触感もあり、全体的に平面滑走するなかなか濃い味となっている。
白さが何を意味しているのか。月末まであと数日の財布の1枚による店員さんとの税率計算の結果の2品ではあるが、無意識が色に出ていることは疑えない。
漂白、きっとそんな気持ちだろう。
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