2月23日(日) 広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーで道本咲希監督の「19歳」を観る。
広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーで道本咲希監督の「19歳」を観る。
2018審査員特別賞 28分 カラー
監督・脚本・編集:道本咲希
撮影・録音:三澤駿人
出演:道本咲希、黒川恵、小野聖愛、塚本健之、大嶋夫妻
ショートフィルムらしい細かいカットと編集の連続、と言えば嘘くさくなりそうだ。CMと異なり、それほど短い作品でもないから、尺の長さを理由にしてはならないだろうが、そう思わせるほど爽快に仕上がっている。
40代手前の男による、大学生ではあったがおよそ就職活動に悩んだこともなく、また、したこともなく、そもそも問題にならずに視界から消えていた人間からすると、進路に悩む類の真面目な友人を持っていなかったので、まさに本や映画、もしくはテレビで知る物語のようだった。ルミネという言葉で捏ねられたかのような画面の色彩、ファッション、手持ちカメラの振れと变化は、アロマオイルのラベンダーが香ってきそうな若々しさと、ドーナツとチョコレートで重ねられた贅沢な年齢による真剣な自己への向かい合いだった。
そんな他愛もない悩みをどうして。そう思うがここで進路を間違えると、やはり一生が決まりかねないのだ。そしてここで一生を決めない人間は、いつまでも人生が定まらずに浮動していくものだろう。
溌剌とした刺激的な高校2年生が終わり、やはり自分も二度と楽しい時代は訪れないと信じ込んだもので、その通り数年は後年の自分の萌芽らしき性質に悩まされ、常套的な比喩を使えば、暗いトンネルの中にいたようなものだった。
そんな若さに悩むことは素晴らしいことだろう。今を切り撮るカメラで現実から逃げることは、それこそが自分の現実であると見据えて、カフェでコーヒーとスウィーツを前に悩んでいればいい。そんな時代の甘さを健やかに見守れる、長くないフィルム作品だった。
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