2月23日(日) 広島市中区榎町にある居酒屋「あおい食堂」であおい定食を食べる。

広島市中区榎町にある居酒屋「あおい食堂」であおい定食を食べる。


今までは遠目に見ているだけだったのが、昨年から花粉症になり、昨夜は目が潰れるくらいにかきまくった。皮膚は強くないので痒くなる範囲が体のいくつかにあり、それに目も加わったとこすりまくった。痛みと違って痒みは、暴飲暴食や衝動買いのような快感があり、後はどうにでもなれと自暴自棄にかきまくる痛快な心地がある。なにせ掻くと非常に気持ちよく、そのあとで爬虫類に向かう硬質な皮膚に薬を塗りたくる。その繰り返しだ。


そのせいかすっきりせず、予定していた午前の映画はやめて寝坊し、快晴にもかかわらず窓を締めきって部屋に籠もる。とはいえ、予定がなくなると予定を入れたくなるので、花粉には怯えるも、抗アレルギー目薬を買うついでに気になっていた店でランチをとる。


酢味噌がつんとする菜の花を口に入れて、かゆみより辛味を感じる。これぐらいさっぱりと消えてくれればいいのに。目に酢味噌でも塗れば、痒みは消化されるだろうか。いや、目薬だろう。


鼻には来ていないから助かりものだ。つまれば香りを嗅げなくなる。さくっとした衣のおいしいジューシーな唐揚げを食べきると、ランバン・エクラ・ダルページュの香りを纏った女性が入店してくる。まるで秋のキンモクセイのように所々で鼻に香るも、あまりに多くて、味気なく思えてしまうのはその数と癖のなさが一般的に思えてしまうからだろうか。


味噌汁らしい味の大きさの白味噌の柔麺を飲み干そうとすると、店内からタバコの臭いが鼻につく。居酒屋だからしかたないか。換気扇がそこらじゅうで回る焼肉屋とはいかないので、こもってしまうだろう。窓を開ければ花粉が飛び込んでくるし。


デザートの柑橘を口に入れて、そそくさと店を出る。加齢臭、洗濯洗剤、柑橘系の体臭、甘ったるい香水、映画館や劇場にいると多く臭いに会うので、鼻がつまってしまえばと思うこともある。


でも、そうなったら良い香りは楽しめない。目は痒いが鼻はまだ無事だ。花粉や煙、臭いから逃げるようで逃げ切れず、ウォンツで目薬を買って家に帰る。

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