音楽、映画、美術、舞台、食事、文学、観光についての体験感想文集

１２月３０日（月） 台東区谷中にある「越後屋本店」で日本酒の熱燗を飲む。

台東区谷中にある「越後屋本店」で日本酒の熱燗を飲む。

ティータイムの始まるまで少し時間があったので、どうしようかと考えることもなく、店に向かう途中の谷中銀座商店街が解決してくれた。柴又に住んでいた時は都内に来るときは日暮里で乗り換えることが多く、住み始めた頃にこのあたりを歩いた記憶が思い出される。

その頃に比べると外国人観光客を多く見かけるも、天ぷら屋、魚屋、団子屋、佃煮屋などの並ぶ商店街の風情の味は残っている。店頭で年末の挨拶をして、家路に向かう働く人達の姿などは、昔の日本映画のワンショットがそのままカラーで再現されるようで、とても良いなと思ってしまう。

食べ歩きしたくなるので、とりあえず酒を飲む。そういえば以前に甘酒を飲んだ場所だ。小瓶が癇されていて、銘柄は覚え忘れてしまった。１本目は純米が香りよく、２本目はやや辛口だが燗されているのでふくよかな香りが放たれている。

ビールケースに座り、目の前にいる人が飼っているであろう、白く、気品のある美しい２頭の犬を眺めながら飲む。通り行く人を見ながら、ついつい、出会いが欲しければ犬を飼えばよく、綺麗な人をつかまえたければ綺麗な犬を飼えばよい、なんて考えてしまう。ただ、そんな犬は安くなく、世話に時間も金もかかるだろう。

ならば自分の世話をしたほうがいいのではないか、などと、人の距離が近い年の瀬の画面に酒を加え、ぼんやりした視点で血を巡らす。