10月12日(土) 大阪市中央区西心斎橋にある「ハナホステル大阪」に泊まる。

大阪市中央区西心斎橋にある「ハナホステル大阪」に泊まる。


このホステルに泊まることを決めたのは、値段と場所のみだ。繁華街の中心から近くてわかりやすい。ということは、多くの観光客が集まるということだ。


受付はとても簡略で、「ゲストハウスに泊まられるのは初めてですか」などの丁寧な文句はなく、鍵を渡されて、扉のロックされる時間と暗証番号の説明ぐらいだ。部屋の案内や、シーツの取り扱いについて何も言われない。すべてどこかしらに書いてあるからいいが、初めてこういう宿に泊まる人は戸惑うに違いない。自分は漫画喫茶に泊まるようにあっさりしていてよいが。


ドミトリーの部屋は湿気臭く、これが都会の安宿を思い出させる。二段ベッドの上段に自分の位置を占めるが、山谷のゲストハウスを思い出させる臭い以外は問題ない。トイレもシャワーも洗面台も十分に設置されている。


誰か話す人はいないかと探すが、スタッフは多くの客に慣れているので事務的に座り、リビングルームもスマホをつつく人がいるだけだ。宿泊客が多いから接する距離が遠く、まるで都会のマンションのようにそれぞれが一定の壁をもっているようだ。


千日前界隈を歩いて立呑屋で日本酒と刺身3種を食べてから、法善寺近くの焼鳥屋で日本酒と串焼き4種を口に入れ、雨の止んだどぶ川が光を放ったような空の下をうろうろする。人がとにかく多い。


疲れに酔いがぐっと回り、話しかける人もおらず、まともに話せる状態でもないので、8時には眠ってしまう。


きっと夜には楽しく話せる場もあっただろう。深夜近くに下段の人が帰ってきて目が覚める。酔っぱらったであろう早い呼吸に、苦しんだように何度もうめく声は、正直うるさく、これが安いゲストハウスらしい情緒を持っている。寝言に鼾、本人は何も知らない。


せっかくの夜の時間がもったいないけれど、早く寝た分だけ次の日は楽しめるだろう。

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