10月12日(土) 大阪市阿倍野区阿倍野筋にある「釜めし串あげDINING ぶんぶく」で万福コースを食べる。

大阪市阿倍野区阿倍野筋にある「釜めし串あげDINING ぶんぶく」で万福コースを食べる。


場所によっては美術館近辺に食事するところがなく、併設のレストランも混んでいたり趣味に合わなかったりするので、エスカレーターを降りれば数ある店から選べるあべのハルカスは、むしろどこにしようかと迷うくらいだった。


せっかくだから大阪らしいものを食べようとふらふら歩いた結果、串揚げのあるぶんぶくに決める。台風でもわりと混んでいる店があるのに、ここに入ったとたん客は2組しかおらず、窓のない空間は閉塞感があった。これだけで入る店を間違えたと思った。外にも書いてあった釜飯と串揚げの万福コースを注文する。


すぐに客は出ていき、自分だけになる。昼にしては少し遅い時間だから客がいないのだろう。釜飯の炊きあがる約20分の間に、先に運ばれてきたサラダと串揚げに手をつける。腹が空いて神経が急いていたから、ほとんど味わうことなくすぐに食べきってしまう。玉ねぎ、鮭、うずら、豚肉、海老と、串揚げは確かにおいしいが、ビールを欲しくなる。サラダはもう少し細切りのほうが良かった。


海老の釜飯が運ばれてくる。つい「酔心」を思いだし、テーブルで火をつけて炊きあがるまでに香りの登ってくるのが懐かしかった。できあがった状態で運ばれてくるのを見ると、あの演出はやはり良かったと思われる。


たったこれだけかと思いながら釜飯を混ぜる。飯椀によそって食べる。熱々で美味しいが、その熱さが炊き込みご飯の味をぼやけさせている。こんなものかとがつがつ食べていると、次第に冷めてきて、だしの染みた米がおいしく感じる。なかなか悪くない。


空間が否定的な見解を持たせたのだろう。せっかくあべのハルカスにいるのだからと、窓が欲しかった。おそらくこんな嵐の外でも、窓からの開放的な景色の中で食べていたら、数段美味しく味わえただろうに、まるで地下にいるような感じではロケーションの意味が損なわれてしまう。


はたして大阪らしい物を食べたのだろうか。ぶんぶく茶釜のたぬきがやけに可愛らしかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る