4月13日(土) 広島市西区草津新町にあるとんかつ屋「とんき」でロースカツ定食を食べる。

広島市西区草津新町にあるとんかつ屋「とんき」でロースカツ定食を食べる。


METライブビューイングのあとは、近くのピザ屋を覗くのがいつもで、みると、この日もクローズの看板がかかっている。人気があるから生地がもうないのだろう、しかたがない。


次はとんかつ屋を覗く。ちょうどカウンターが空いており、座ってから5分も経つと、人が店の扉の外に並びはじめる。前も別のとんかつ屋に行った時、あとから混んできたのを思い出した。運が良かった。


前回は分厚いヒレカツを食べ、今日はロースカツを頼む。


出てきたのは、板こんにゃく二枚重ねて揚げたような、これまた分厚いロースカツだ。


中がピンク色だから、しっかり火が通っていないと思いそうだが、ただ色が残っているだけだろう、生肉の味はしない。とても良い加減で、柔らかい。


ヒレカツもさっぱりしていたが、ロースカツもあっさりしている。下味がないので、存在感がないと思えるほど透明な味だ。ついついソースをかけすぎてしまいそうになるが、塩をふって食べるほうが好みだ。ヒレカツと違い、脂身にあたると、豚らしい甘い旨味が口に広がる。


白味噌の豚汁もちょうどよい味で、香の物は、ぬか漬けだろうか、なにかわからないが、淡白でいい。


どんな食べ物でも、食いっぷりを考えてしまう。一人でいると、暇だから、どんな所作で食べるほうがいいか考える癖がある。ラーメンなら汁をまずすすり、麺をおもいきり吸い込むし、蕎麦もやはり音を鳴らして、一気に麺を口に流す。インドカレーなら、右手だけでナンをちぎり、スプーンも使わずカレーを食べる……、というほど真剣ではないが、茶道があるように、自分のなかで勝手な道といえない所作を演じる。


とんかつ屋では、まず出された熱々を食いちぎり、火傷かまわず口にいれる。これは直に出してくれる天麩羅屋でも同じかもしれない。そして、ソースや塩は口に入れるカツだけにちびりちびりかける。よく噛んで、腰を痛めた人が体を伸ばして具合を確かめるようにゆっくり味わう。急ぐのは牛丼と汁なし担々麺だ。


おいしいトンカツだと味わい、米を口に入れ、年季の入った大将の動きを見ながらそんなことを思う。

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