3月24日(日) 広島市西区中広町にあるラーメン屋「紺屋」でしょうゆラーメンを食べる。

広島市西区中広町にあるラーメン屋「紺屋」でしょうゆラーメンを食べる。


前日の夜、嫁さんが突然ラーメンを食べたいと言い出した。もう遅い時間で、家に腰をおろしてしまったから、また外に出る気にはなれない。それにこんな時間に食べるのはあまり良いものじゃない。カップラーメンでもあればと思うが、それもない。コンビニが家の下にでもあればいいが、あるのは服屋だ。店で、家で、いろいろ生んでばかりいるから、最近は腹が減ってしかたないらしい。しっかり食べなきゃ良いのは出てこないけれど、ここは我慢してもらう。クロワッサン食べたばかりだし。


今日の夕方、急にラーメンが食べたくなった。蕎麦のほうがいいが、食べたいと思いながら入れずにいた店に行くタイミングが合い、営業中の看板もあり、満席じゃなかった。


しょうゆラーメンは注文してすぐにでてきた。見た目から美味しそうだ。澄んだしょうゆ色のスープに、菜の緑と、卵の黄色が映え、チャーシューが大胆に場所を占めている。


スープは、口当たりが甘く、澄んでいて、醤油の味がやっぱりする。それは鈍重なしょうゆではなく、切れの良い色を見せる風味で、味が濃いのではなく、濁らないしょうゆがしっかりとあるのだ。だから、雑味のない澄んだスープを壊すことなく、背筋を伸ばして立ち、人によっては強いと思うかもしれないが、自分にとってはくどくなく、いくらでも飲めてしまう味となっている。


緑は小松菜だろう。嫁さんが時折お知り合いから野菜をもらってくることがあり、その青菜を食べていつも思うのは、素材そのものの強さだ。辛味、苦味、だるそうに味を見せるのではなく、きりっと、口内から脳に遠慮なく突き刺す味わいがある。この小松菜も、それらの野菜と同じ土壌にあるのを感じる。青菜特有のしゃきっとしたみずみずしい辛味があり、薬味のように舌に明瞭な風味を添える。


麺は細く、ほんの少し固めに出てくるが、のんきにスープを味わっていると、すぐにゆるくなってしまう。細くとも小麦の麺は噛んでいるとすぐに味わいがでてくる。甘さを感じる、中身のあるおいしさだ。


チャーシューは、一枚は脂を含んで柔らかく、二枚目は脂が少なくぱさついている。醤油で煮られているような濃い味がなく、豚肉の味わいが全面に引き出されている。分厚く、950円というラーメンにしてはやや高い価格も、チャーシュー麺と考えれば妥当だろう。ぱさついた身を口で噛みほぐし、そこにスープを含ませると、良い具合にまとまりあう。ぼってりしたしょうゆ味のスープではこうもいかない。蕎麦屋で見つけるに近いしょうゆ味だからこうなるのだろう。


替え玉を頼み、ぺろっといただき、スープも貪るように器を持ち上げて飲み干す。


おいしい店だった。メニュー表に調味料、食材の説明が書かれていた。塩は、シママースも使われ、醤油は、チョーコーのも使われている。職場の商品にもあるよ、こうなると、見直してしまう、職場のを。


嫁さんには悪いがおいしくラーメンを食べたので、帰りにインスタントの尾道ラーメンを買う。今日はカップラーメンで勘弁してもらおう。安っぽい旦那で悪いが。

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