2月10日(日) 広島市中区中町にあるベトナム料理「アオババ 広島店」でブンボーフエを食べる。

広島市中区中町にあるベトナム料理「アオババ 広島店」でブンボーフエを食べる。


ブンボーフエ=辛い牛肉うどん。このようにメニューに書いてあり、写真は小さく、注文してからブン・チャか、別の漬けて食べる麺料理にすればと後悔した。なんだかあまりおいしくなさそうに思えてしまった。


ところがこれがとてもおいしい。スープは甘く、少し魚醤臭く、鶏だしだろうか、どのようにこのスープが煮出されたかわからないけれど、日本の味噌汁を飲んで日本を感じるような、ベトナムの汁の味だ。


牛肉がローストビーフのような品の良さで、レアではないが、風呂で立派に洗われたようにすっきりしていて、柔らかく、肉の繊維は色っぽいくらいだ。牛すじもあり、臭みは抜かれ、ややこってりしていてコラーゲンがおいしく、ちょっと濃い目の調味料につけたくなる濃厚な柔らかさだ。


汁に乗る青ネギ、レタス、フライドオニオンが実においしい。ベトナム料理は青物が常にしゃきしゃきの食感とみずみずしさを与えてくれる。


麺は米だろうか、小麦に慣れていると米の麺は少し物足りなく思えるが、これが米線の特徴で、箸から少し逃げやすい口当たりがつるっと喉を通る。これがあっさりとしたベトナムの汁に合うのだ。量も十分に入っている。


備え付けの米が豚の角煮の細切れ入りで、炒ったピーナッツが散りばめられているのが、アジアの料理の上手さだ。これとネギがよく合う。当然肉も柔らかく染みていて、量もちょうどよい。


それに小皿の緑豆のチェーがおいしい。ココナッツミルクで、柔らかくも身が残る緑豆ペーストを食べる。栄養たっぷりで、優しいおいしさだ。


スープを飲み干すと、レモングラスの小片が確かな存在感を口に広げ、黒胡椒も姿をあらわす。思った以上にスープのなかに食材は放り込まれていて、雑味の少ないスープからは考えられなかった。


そしてベトナムコーヒーでしめる。粉っぽく、純度の低い煙のようなコーヒーは、やはり練乳が合う。この高密度の組み合わせをよく生み出したものだ。


働く女性は声が高く、つやがあり、笑顔を絶やさず愛想が安定していて清涼感に満ちている。


店内に飾られているディスプレイも、ハノイの水上人形劇を思い出させる。


この店は二度目だが、やはりとても良い店だ。

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