1月26日(土) 広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーでレコードコンサート「ジャック・ブレル 没後40年そして生誕90年」を聴く。

広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーでレコードコンサート「ジャック・ブレル 没後40年そして生誕90年」を聴く。


選曲・解説:戸坂律子


1、行かないで Ne me quitte pas(1959)

2、瀕死の人 Le Moribond(1961)

3、愛しかない時 Quand on n'a que l'amour(1956)

4、フランドルの女たち Les Flamandes(1959)

5、ザングラ Zangra(1962)

6、老夫婦 Les Vieux(1965)

7、行きます J'arrive(1968)

8、リエージュに雪が降る Il neige sur Liège(1965)

9、見果てぬ夢 La Quête(1967)

10、オルリー空港 Orly(1977)

11、マチルド Mathilde(1965)

12、ああいう奴ら Ces gens-Là(1965)

13、ジェフ Jef(1965)


去年の2月に戸坂さんのレコードコンサートを観て聴いて、とても刺激になったの覚えていたから、この日を待っていた。


今月に観た映画「バルバラ セーヌの黒いバラ」に、ジャック・ブレルの訃報が載った新聞の横で倒れているバルバラのシーンがあった。


「今月のレコードコンサートでとりあげられる歌手だ」そう思い、興味が湧くも、余計な先入観は抜きして、第一印象を素直に受け取るために、調べることは一切しなかった。バルバラの影響が今もあり、アマゾンエコーでシャッフル再生する回数が増えた最近の流れで、ジャック・ブレルを知れるのはとても楽しみだった。


前半は年代順に曲が紹介され、初期の理想を歌った曲から、反骨精神を持った曲、旧弊な道徳、夢と現実、死や老いを扱った曲などを聴く。


後半は活動停止から復帰した曲や、実際のコンサート映像を観る。


ジャック・ブレルの人物像やその生き方にも興味は湧いたが、歌っている姿の映像が圧巻で、戸坂さんの解説するように、歌い手が人物になりきるのではなく、人物が歌い手に乗り移るようにパフォーマンスするその姿に度肝を抜かれた。


迫真の演技力に、落語の生み出す描き語りを観た。イタコのように口寄せして、魂を現出させる。身振り手振りに通っている。


表情はもちろんのこと、手の震えや、腕の振りなど、常の力の限界まで細部の表現に徹していて、誰よりも毛細血管に血が通っているだろうと惚れ込んでしまう。


絶頂期に活動休止した理由が、「老夫婦」を機械的に歌っている自分に気づいた時らしく、その日の夜にそう決めたそうだ。


バルバラも新しい発見だったけれど、ジャック・ブレルもかけがえのない発見だ。詩、歌、動作、どれとっても生きている。


この日は雪が降り、戸坂さんの個人的な選曲で「リエージュに雪が降る」があり、たまたま重なって、ジャック・ブレルも笑っているかもと言っていた。素敵な言葉だ。


懐古的というのは、味わいの増す嗜好だろう。

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