1月19日(土) 広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーで「時をかける少女」を観る。

広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーで「時をかける少女」を観る。


1983(昭和58)年 角川春樹事務所 104分 カラー 35mm

監督:大林宣彦

出演:原田知世、高柳良一、尾美としのり、根岸季衣


名前は知っているが、内容を知らないものはいくつもある。最近ではエルビス・プレスリーの名に内容を与えるべく、アマゾンエコーのシャッフル再生で楽曲を聴いて、新たな発見をしている。新しいものも新しいが、古いものもやはり新しく、思い返せば、古いもののほうに影響されることが多い。


たとえば、今日の映画で植物を育てる温室が映される場面があり、最近育てているものや、知っている植物を探して、昔から存在していたのだとみょうに感心してしまう。植物のほうは古代から脈々と種を存続させて今の形があるから、当然古くからあるのだが、植物を知ったのが最近なので、自分のなかではどうも新しい経験として認識されている。最近良く見かけるビカクシダも映画の温室にあり、流行りはあくまで一時的なスポットライトに過ぎないのだと気付かされる。


「時をかける少女」、この名を昔から知っている。実際に観れば、尾道の生活が描かれ、もはや骨董のような貴重な家並みと町が愛着を持って撮られている。ウルトラマンの登場を思い出させる特撮も懐かしく、時をかけているときの映像も、その編集が実験的で、うまい効果が表れている。


演技自体はそんなに好みではなく、若い役者は拙さがあるが、その青さが、熟した味わいよりも清々しい。特に素敵な女性として、十年前ぐらいにJ-WAVEのコーヒー会社提供の番組で清らかな声を聞いていた原田知世さんが、ゆで卵のような肌をした子供だった。


若い時に観て、影響を受けたい映画だった。40歳に近い今の自分では、この青春があまりにも痛々しい。


時すでに遅し中年、こんな言葉で自分をくくり、古い新しさを得て、知っていた名の額に若い少女の絵を飾る。

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