12月9日(日) 広島市西区草津新町にある「ショコラトリー マルコ」でクランブルMIXを買った。
広島市西区草津新町にある「ショコラトリー マルコ」でクランブルMIXを買った。
ピザ屋の近くにチョコ屋があった。
クリスマスも近いので、店内にはギフトがたくさんあり、植物に目の慣れない時に花屋に入って見分けがつかないような錯覚を覚えた。
ガラスのショーケースにクランブルチョコの板が重なり、西洋の肉屋、チーズ屋などのような構えで、量り売りだ。
クランベリー、ピスタチオ、フィグを買った。
人それぞれに毎日食べる物があり、自分は、ヨーグルト(牛乳と豆乳それぞれ)、レーズン、ピーナッツ、生キャベツ、茹でたニンジン、味噌、キムチ、ひじき、煮干し、ひよこ豆を、朝、昼、晩とほぼ決まった献立で食べている。誰かとではなく、一人での食事はまるで制服のように変わらない(寝坊しないかぎり)。必要だとおもう栄養素を選び抜き、それに玄米かパンを主食として、植物油をかけ、酢をかけ、香辛料をふりかける。手間を省き、食事を楽しむことは目的としないが、それでも毎度の食事が楽しみだから不思議だ。
そんな変わらない毎日の食事のなかでは、スウィーツも変わらない。熊本にあるお菓子屋さんから業者のように一度に大量に注文して手に入れる、クーベルチュールダークチョコレート52%だ。これを食後10粒は食べる。一日に20~30粒食べている。
チョコに関しては栄養素を必要としてではなく、一日の中で生まれる甘い物への欲求をそれで満たしているだけで、いわば生贄のように腹の中に毎日放り込まれている。高級なチョコではなく、安く、かつ満足して食べていけるのがクーベルチュールのチョコなのだ。
家に帰り、3種類のクランブルチョコを食べてまず思ったのが、不純だ。ドライフルーツはたしかにおいしいが、それぞれが純度の高い風味でもってチョコと調和するのではなく、ばらばらに味の印象が消えていき、チョコそのものもミルクが強くて、自分には甘ったるい。ビターな味と紹介されているクランベリーでさえ甘い。クランチな食感で楽しめるように作り上げられているのだが、3種類が明確な特色を示せずに、大人数のアイドルグループ内の可愛らしい女の子がどれも同じ子供に見えるようで、残念なことに自分の好みに合わない。
クーベルチュールのチョコも甘いのだが、不純ながら、ごみごみしていないから毎日食べることができる。毎日食べているヨーグルトからひよこ豆までの食べ物も、どれひとつとっても変に味をつけていない(キムチと味噌をのぞいて)からこそ、飽きないのだ。
ふと思ったのが、エクアドルの市場で買った石炭のような塊のチョコだ。カカオの結晶のようなそれは、とても固く、かじりついて口のなかで噛み砕くと、砂糖などの甘さなどない、カカオそのものの苦みと風味が色濃く移ろいでいく衝撃的な味わいだった。いわばエスプレッソのような抽出された風味の塊だった。
見た目もかわいく、美味しそうだから、当然ながら飾り気のない朴訥なチョコではない。今日観たオペラで、「ウィスキーを水割りで注文した男がいたぞ」と客から聞いた酒場の女主人は、「その男を連れてらっしゃい、根性を叩き直してやるわ」と威勢のよい声を出す。
蒸留酒はそのまま飲む。コーヒーだって、茶だってそうだ。面倒だし、そのままがいい。チョコも似たようなものだ。
その女主人に根性は叩き直されずにすむが、偉そうにべらべら話していたら、きっと偏屈と傲慢は叩き直されるだろう。
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