10月28日(日) 萩の旧山村家住宅を観る。

萩の旧山村家住宅を観る。


ここは昔商家で、表屋造りという近畿地方の豪商に見られる建築様式らしく、このあたりでは珍しいそうだ。


武士の邸宅と異なり、生業によって趣が変わるから、家というものが人間の暮らしの形態をいかに表しているかよくわかる。


浜崎地域は観光客がほぼいなかったので、この家でも自分1人だけがうろうろすることになり、控えめな男性ガイドさんから話を聞くこともできた。


こういう歴史的建造物の保存は難しく、傷んだ柱などを修繕するにしても、柱一本を取り替えるのではなく、柱の一部を切り、もともとあった部分を残さないといけないなど、どこの役所とだったか忘れたが、取り決めのようなものがあるらしい。見せてもらったその柱は、ブラックジャックの顔のように異なった色で継ぎ接ぎされていた。


船に関する商家だったので、土蔵にはその名残の物が展示されている。古い銭湯や大衆劇場で見かけそうな絵の広告などもある。中庭の古い灯籠も海外からだと言っていた。


広間にあった箪笥は年季が入り、簡素だが整然とした意匠の神棚の両端には、大黒さんと恵比寿さんの面が飾られていて、鍵穴のついた引き出しは、おそらく迷路のような作りになっており、簡単にはたどり着かせないピラミッドのような罠でもある気がした。商家にとっての命が詰まっていのだろう。


港町の町人文化だ。

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