10月11日(木) 模擬刀をもらう。

模擬刀をもらう。


嫁の元同僚が、嫁の誕生日に刀をプレゼントしてくれるとあったが、嫁はそれを丁寧に断り、それを聞いて自分は「なぜもらわない」と言い、それを欲しがったら、もらえることになった。


別段刀を欲しかったわけではない。バーベキューコンロや、キックボードをもらえると言われても、反応はしないだろう。それらより実用性に欠ける模擬刀になぜ興味を惹かれたかと言うと、第一に、時たま家に泊まりに来る外国人ゲストが喜ぶかもしれないと思ったからだろう。


この日、刀をもらいに行くことを嫁から聞かされると、刀の使い方も教えてくれると言われる。それはありがたい、しかし、刀の使い方とはなんだろうか。まず頭に浮かんだのは、テムズ川の底で喧嘩マンをじっと待つキン肉マンに出てくるビッグ・ザ・ブドーの姿だ。要するに剣道の面、小手、胴などだ。


とはいえ、刀と剣道はまた違うだろう。刀は人を切る道具だ。ということは、人の切り方を教えてくれるのだろうか。変にぞっとした。教えてもらっても、実践する機会はないだろうに。


実際に教えてもらうと、納得がいった。刀の種類から始まり、手首の角度を含めた持ち方、抜き方、体の開き方など、考えもしなかった細かい動作の基本を教えてもらう。やはり人の切り方だが、演劇での刀の扱い方だ。


刀をもらえた喜びもあるが、刀にまつわる演劇の世界と、型の端緒を知れたことで、刀を使った映像などを観た時の視点を得られたことが嬉しかった。嫁の元同僚は若いのに、知識があり、説明は明確で濁すところがなく、その好奇心と徹底した学者肌に感心した。


ただ、もらったは良いが、突然のことなので置き場所に困ってしまった。地震で本棚が倒れない為の支えに、なんとなく格好になるから置いてみたが、震度3以上で、本棚は倒れず、模擬刀が降りかかってくるだろう。

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