9月17日(月) 広島市中区大手町にあるトルコ料理「カルシャカ」でAコースのランチを食べた。
大手町にあるトルコ料理「カルシャカ」でAコースのランチを食べた。
メルジメッキチョルバスは、レンズ豆が少し残っているくらいの崩れ具合で、豆類特有の滋養の高さを発揮した大地の味わいは、唐辛子とトマトペーストによって性質を引き出されて、ドライミントによってさらに高低差を加えられ、確実に体へ馴染んでいく。
三種の前菜は、フムスは触る程度の味付けで、オリーブオイルもにんにくもそれほど強くなく、アジルエズメはトマトにきゅうり、ピーマン、玉ねぎのみじん切りが鋭さのある辛味と酸味によって素早く舌を刺激して、鮮やかな平手打ちを食らうように、重たい痛みではなく、空気に弾ける音の良さを想起させ、ロシア風サラダは日本で食べる家庭のポテトサラダよりも酸味が強く、大胆で軽快なマヨネーズの味にまとまり、ダイス状のポテトは食感が良く、グリンピースがなめらかに中の粒を登場させる。
手作りのエキメッキは、日本らしいふわふわした食感だが、気が抜けているわけではないので食べごたえはあり、シェフのおじさんは振る舞いどおり優しい人なのだと思ってしまう。どの料理にも当然合う。
メインのプレートは、キョフテが心を震わせて、様々な思い出と幻想を食らわせる。ビーフとラムのミックスされた肉の塊は、ラムの香りはしっかりあるが和らぎ、牛の赤い旨味が加わり、無駄な脂身はなく、逞しい二の腕や大腿を作り上げるであろう凝縮されたタンパク質で、この軟弱ではない水気のなさがケバブという香り高き料理を代表するトルコ料理の肉の味だと頷く。酸味と辛味のより強いトマト味のソースがぴしゃりと合う。ピラフは上品に仕上がり、サラダはにんにくの強いドレッシングで、しゃきしゃきとからみ、肉の味と均質の強さで舌を潤わせる。
食後は、トルコチャイが、澄み切った香り良い渋みに、甘さが加わり、標準語のような安定した落ち着きを示す。
店を出ると、三連休最終日らしく、近くの店は客が入り、外で待っている人がいくつか見られた。穀物のランチや、洒落た日本のカレー、人気の蕎麦、どれも美味しいだろうが、そんなに並んで待つなら、席の空いている「カルシャカ」で、いつもと違う味わいを体験してみては、などと思ってしまう。
とにかく、この店のトルコ料理は本物だ。
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