9月4日(火) 広島市中区十日市町にある「アリエッタ・ヴェルデ」でヴェルデランチをいただく。

十日市町にあるアリエッタ・ヴェルデで、ヴェルデランチをいただく。


毎日家に帰って昼御飯を食べているが、台風が来るというので昼食は外でとることに決めていた。


近くの北京料理屋で粥ランチをいただこうと思っていたら、不定休の休みがこの日で、近くのピザ屋に入ることにした。


サラダは、人参の千切りが見た目どおりしゃきしゃきしていて、生でかじればむあっと広がる人参のえぐいというかどぎつい風味が細かく分断されているので、一本一本にしっかり味が分けられ、それを噛むと網戸のような印象で、爽やかでいて歯ごたえある人参の味が通過してくる。それを粒マスタードと玉ねぎのドレッシングが合わさると、人参の強さが中和されて、ドレッシングにもたれかかるように主張を抑えて感じよい味わいに変化する。


マルゲリータは、チーズがとても弾力がある。溶けて、柔らかそうに見えるが、噛むと思い切り跳ね返って、たやすく歯を通過させないしっかりした弾力で、真夏の暑さに、だらしなく、軟弱に溶けるような輩と違って、溶けているようで、芯は全く溶けておらず、やたら甘ったるいとろとろと違い、すっきりした、きゅっきゅっする食感には、素朴で太いチーズの味わいがある。トマトソースは純度の高い甘さと酸味が溶岩のように横溢している。そして生地がしっかりと焼き上げられ、内はただ薄いだけでなく、外はただ分厚いだけでもなく、香ばしさにパリッとしながらも、密度のある生地は緻密に空気と水分を含み、非常に噛みごたえがあり、トマトソースとチーズを一緒に含んで咀嚼すると、三点倒立のように単純な基準点が三つそれぞれが立脚して、肉汁たっぷりの分厚い肉を食べるような調和を生み出す。


ピスタチオはジェラートで、スプーンに一口入れると、若干粉っぽさを感じるほどしっかりと豆類のあくというか油っぽい風味を感じて、ただ緑色でそれらしい味付けにしたのではなく、ちょっと苦みが残った抹茶のように存在感のある味わいに、食べる度合いは加速して、味わいたいが冷たさで細かい味はすこしばかり感じにくくなり、甘みのあるワッフルボールをかじり、どんどん減らして、味わうどころではなくなる。


温かい粥と、小皿のピータンを食べるつもりが、ある意味台風の日らしい食べ物をいただくことになった。素材の活きた今日の料理は、食べ物は太陽の恩恵の下にあると、マルゲリータの図柄がそっくりそのまま表示していて、生きた人参に、力強いチーズと明るいトマト、香り良いパン生地、それに乾燥した太陽のもとでいくらでも口に運ばせる高貴なピスタチオは、どれも日本のものではなく、西アジアからイタリアまでの国土による食べ物だと頭に地図を浮かばせる。


自然の恩恵の外で、自然の驚異があり、人間の生活というのもまた小さい自然の営みだとしみじみしてしまう。

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