7月27日(金) 広島市中区加古町にあるJMSアステールプラザで「広島交響楽団、新ディスカバリー・シリーズ、黄昏の維納」を聴いた。


広島交響楽団、新ディスカバリー・シリーズ、黄昏の維納を聴きに行った。


指揮:下野竜也

ソプラノ:半田美和子

献奏、シューマン:天使の主題による変奏曲

スッペ:喜歌劇「ボッカチオ」序曲

ベルク:初期の7つの歌

シューベルト:交響曲第6番ハ長調


献奏によるシューマンの曲から、西日本豪雨災害犠牲者への哀悼が厳粛に始まる。


喜歌劇の序曲などと、もう見下げた気持ちでスッペの曲を迎えはしない。今回で6回目のこのシリーズはすべてスッペの序曲で始まっており、楽想豊かに盛り上がるスッペの曲は今日も健全にウィーンの空気感を伝える。


ベルクの歌曲を半田美和子さんの声で聴いていると、細川俊夫さんの「班女」の花子を歌った半田さんを想像してしまう。二日目の配役は異なり、自分は二日目を観た。情感たっぷり陰鬱を帯びつつ歌い上げ、第3曲目の「ナイチンゲール」では情操昂ぶりながらバラの花が咲き届く。半田さんの歌う「班女」が惜しまれる。


フルートの目立つ第一楽章から明るく、親しみやすいシューベルトが始まる。普段聴く楽曲に比べて、無駄を削がれた純度の高い構成に面白みを感じる。やっぱり下野さんは器用なバランスのとれた素晴らしい指揮者だと毎度の感慨を覚える。


ウィーンの音楽史の側面を上手に紹介する下野さんの手腕と上手さが親しみを介して溢れている。下野さんのウィーンの思い出がシューベルトの曲に託されるように聴こえてくるのは、この文化都市へのこのうえない愛情と青春によるのだろう。


回を重ねるごとに、アットホームなコンサートの雰囲気は醸されていく。

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