第12話 起床と穴

* 三日目


 朝。執事に起こされた後、朝の重たい身体を動かし、エントランスの階段を下りる。

「おはよう一樹」

 一階に着いたところで、目を半分ほどしか開けていない京也に、上から声をかけられた。

「なんだよ京也、眠そうだな」

 目をこすりながら、降りてくる。

「あぁ、夜眠れなくってな」

「珍しいな、京也が寝不足なんて。いつもは俺が起こされる方なんだけどな」

「お前は寝すぎなんだよ。この前も先生に怒られてただろ」

「わーわーきこえないー」

 耳を手でパタパタさせているところに、葉山と九城がきた。

「何をやっているのよ」

 葉山は苦笑いでこちらを見て、はやく行くわよと言い先へ行ってしまった。


 *


 食堂に着くと、執事が別の扉から入ってくるのが見えた。

 一同は席へ着く。

「まだ来ていらっしゃらない方がおりますが、そのまま話を始めせていただきます」

 執事は懐中時計を取り出しておかしなことを言った。

「夜が明け、一人の村人が無残な姿で発見されました」

 周囲の空気が、黒く濁った。


 *


「一日目の犠牲者は七ノ瀬項矢様です」

 それを聞いた一同は、水沼を先頭に七ノ瀬の部屋へ向かった。

 部屋の扉を少し開くと、鼻を突くような鉄の臭いがした。一同は目を合わせ、覚悟を決めて、扉を開ける。部屋の奥にある窓の下に、下着一枚で首を垂れている七ノ瀬がいた。腹に大きな穴が開いていた。勢いよく太い物を指されたような、血の飛び散り方。それは窓や床までも染め上げていた。

 遠野は七ノ瀬であった肉塊に歩み寄り、髪を掴んで頭を上げさせた。口の周りが真っ赤に染まっている。目は大きく開かれ、死ぬ間際に恐ろしいモノを見てしまったようだった。

 水沼の目は見開き、声を震わせている。

 西川が部屋から飛び出し、トイレのある方向へ走る。それを追いかけるように蓬と京也も飛び出す。一樹は死体から目を背け、九城は倒れそうになり葉山に支えてもらっている。山崎は座り込み、焦点を合わせていない。一番近くで肉塊を掴んでいる遠野は汚いものを触っているかのように顔を歪ませていた。

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