第11話 平穏と猜疑心
「とりあえず今日はカミングアウト無しってことで、人狼特定できてないから、今日は処刑は無しにしようか」
でもそれじゃあ誰かが死んじゃう。と西川が言うが、水沼は聞こえないふりをして話を進めていく。
「異論がある人はいるか?」
今度はどの手も上がらない。
「わかった、それじゃあ今日はもう部屋に戻ろう」
それから、それぞれが部屋へ帰るために席を立つ。蓬は西川と、水沼は遠野と、葉山は九城と、京也は一樹と、それぞれが話しながら帰る。七ノ瀬と山崎は最後まで残っていた。
「一樹、お前の役はなんだ?」帰りにそう聞かれた。正直、京也のことを信じていいのかわからない。一樹が無言になると、そうか。とだけ言い、それからいつものように何も喋らず帰る。
階段の上に着いたところで別れ、いつものようにじゃあねを言おうと振り返ると、京也もこちらを振り返っていた。だが、京也の口から出た言葉は「じゃあね」ではなかった。
「一樹、誰も信じるなよ」
たったその一言。京也はそれだけを言うとさっさと歩いて行ってしまった。
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