ナナ島クロニクル

猫目 青

ラピス・ラズリの地球

 漆黒の宇宙空間に人型の巨大な物体が浮いていた。

 物体は、周囲の空間に溶け込むように黒い金属で造られている。異常なまでに長い手足と、細い胴体。その胴体には不釣合いな、大きすぎる頭部のせいで、人型の体はバランスを欠いていた。

 細い胴体には無数の黒い触手が蠢いている。触手は人型の胴体をすっぽりと覆っていた。

人型は、真っ黒な宇宙船の側に漂っている。

 ――機体異常なし。他システム正常値クリア。成層圏に張り巡らされた簡易結界の間隙地点を予測。予測データを元に、降下ポイントを指定。作戦開始とともにアトランティスへの降下を決行する――

 機械的なアナウンスが人型から流れてくる。その声に反応するように、宇宙船が青白い光を放った。人型もまた、宇宙船の光を受けて煌く。

 人型は巨大な頭部を足元へと向ける。

 人型の足元には、ラピス・ラズリのように煌く地球が、暗闇にぽっかりと浮かんでいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る