毛布の温かさにくるまれて
くるりくるり、つつまれたのは子どもの頃の
優しい思い出
夜、眠る時に誰かのぬくもりに触れながら
毛布につつまれる
そうすると、あたたかい
それは背中にまわされた腕の温もりなのか
目の前にある心臓の音の温もりなのか
わからないけど、そのすべてが毛布によって
僕ごとつつむ
朝、そこからでるのはひんやりとする
ほんの少し勇気がいるんだ
それと同時に1日のはじまりを
えいやっ!と決意する
外の世界では勉強して遊んで
お小遣いで買ったお菓子のおもちゃのおまけで遊んで
くたくたになって服も汚れて
母に叱られるか
笑われるか
どちらが多いだろう
食卓には今日のご飯
好きなものが多いとうれしい
嫌いなものが混じってると目をそむけるか
端によける
家族には何を話したか
おもちゃのおまけがレアものだったこと?
それとも友達がバカをやらかしたこと?
部活でうれしいことがあったこと?
そういえば何も話さない日もあった
ただ、ご飯をかきこんで部屋に戻った
あれはいつの頃からだろう
もう覚えてない、というより
思い出そうとすると胸に溢れるものが
あるのだ
いま僕は毛布にくるまって眠りにつこうと
している
日中に天日干しした毛布から懐かしい香りがする
大切な人はもういないが、こうしていると僕が今の僕になるまでを思い出す
もう大切な人はいないが、僕にも大切な存在ができた
まだ小さな命の寝息を近くで聞きながら
自分のこの想いがこの子を毛布ごと
つつんでくれる錯覚におちいった
母もそうだったのだろうか
そんなことを考えながら目を閉じた
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