溺れてしまったペットボトル

「ペットボトル?さっき捨ててきたよ。」


「家に持って帰って捨てるのめんどくさいもんね。」


「そうそう、地味に場所とるし。」


どこ捨てたかって?さっきの通った橋の上から捨てたよ。


でもそれを言ったら責めるだろう?


だってコンビニなかったから、普段はどこにでもあるのに。

こんな時に見つからない。

コンビニがあったらそこへ捨てるけど。


誰だってしてることなんだし。

たまになら許されるだろう。


ペットボトルがどこへいくかは誰もしらない。

波に乗って、普段からゴミがたまりやすい無人島や島に流れ着くかもしれないし。

けずられていって無残な形になっていくかもしれない。

クジラが飲み込むかもしれない。


だけど、彼が捨てたペットボトルは蓋がなかった。


波で徐々に水が入り、重くなって沈んでった。


底へ底へ、暗いくらい底へ。


無機物も人も環境に左右され、行き着く先も様々。


「あーぁ、喉乾いたね。なに飲む?」


自販機の前で彼女が聞いた。彼女は既に買っており、お金は入っていた。


「あぁ、ならこれ。」


ピッ、と簡単な音がし、彼は飲みたいものを選んだ。


ゴトンッ、といつも通りの音がし、彼の望むものがその手に届いた。

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