第2話 Radio

 僕は次の日、彼女に殺されるのではと思い、彼女の方を見ないようにと決めていた。昨日どうだった?などと聞いてくる女子には特にどうもなかったよとだけ伝え、

帰ってもらうことにした。

 そうして無難に一日を終え、文学部室に行く。その横の自販機に人影が見える。

桜木の可能性もある。隠れてみているとこちらへ向かってきた。


「おい、どうした作家先生。」

「何だ、白石か。ビビらせるんじゃねぇよ。」

「別にビビらせてねぇじゃん。もしかして何かあったのかよ。」

「いや、別に。」

「訊くよ。部室今誰もいないから。」

「じゃぁ、訊いてもらおうかな。」

「入れ入れ。」


そして、全てを話した。そして、白石はこう言った。

「普通に警察に持って行けよ。」

「まぁ、たしかにそうすべきなんだけど。」

「けどなんだよ。別にお前には非が一切ないじゃんかよ。」

「まぁ、たしかにそうだなぁ。じゃぁ白石、ついてきてくれよ。」

「別にいいぜ。」

白石は文学部なのに体格がいい。来年には部長になれるのではというほど

信頼が厚い。僕は精一杯彼を頼ることにした。

そして白石と一緒に部室を出ようとした。

部室の戸を開けるとそこには桜木がいた。


「あのぉ、入部体験したいんですが。」

「ごめん今日は部活休みなんです。」

「そんなことないでしょ。じゃぁなんで二人は部室にいたの?」

「そりゃぁ、そんな日だってあるさ。」

「今日じゃなきゃダメなんです。」

「分かりました。じゃぁ先に部室入っててください。後で戻ってきます。」

「分かりました。」

「また後で。」

白石がそういうと

「じゃぁ、これ受け取ってもらえますか?」

と桜木が言った。

白石は

「これは何ですか。」

と訊いた。すると

桜木は部室に駆け込んでいったかと思うと窓を開けて、叫んだ。

「白石さんに胸触られました!」


「何言ってんの?触ってないじゃん。てか俺ら部屋の外にいたし。」

白石がそういいながら部屋に入っていき桜木につかみかかった。

そこに運悪く、部員が入ってきた。

「きゃぁ。」

そう叫びながら部屋から出て行った。

僕はとりあえず警察に包丁を持っていくことにした。

僕がその場から離れようとすると桜木が追いかけてこようとした。それを白石は抑え込もうとしていた。


 僕は警察に包丁を持っていき、しっかりと伝えた。

しばらくして、彼女は警察に逮捕された。


 その後、僕はラジオの収録があった。

僕は今日あったことを伝えた後、放送できなくなるかもしれないことを伝えた。

すると局の方は優しく、

「大丈夫。でも、今日はつらいだろうから一度帰って休みなさい。」

と言ってくれた。しっかりとそれに従った。


 次週、僕は収録室の机の前に座っていた。

「それでははじめまぁす。さぁん、にぃ、いち。」

口パクでどうぞといったらしい。

そして番組が始まった。


今日は事件のことについて語った。

今週のワイドショーは事件のことでもちきりだった。


僕が伝えることは最も重要だろう。それは僕自身を守ることにもなるし

桜木容疑者を守ることにもなるだろうと思ったからだ。


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