第15話 ゴブリン戦
「みんなー、ここみたいだぞ!」
僕たちを先導してくれたのは今回のクエスト責任者で、青銅帯の黒の冒険者であるフラメさんだった。
「ここかぁ……」
着いた場所は洞窟の入口だった。中は薄暗く、言葉に表せないような、妙な雰囲気を醸し出していた。
「ベラ君どうしたんだい? もしかして、怖気付いてるのか? ははは」
「ち、違いますよ」
僕をからかってきたのはテリルさんだった。
「ゴブリンと戦うのは初めてか?」
「戦うのは初めてです。でも一度襲われたことがあって……」
「その時はどうしたんだ?」
「たまたま居合わせた……ほら、あそこにいる」
僕は向こうにいるソルディを指さした。
「あいつに助けてもらったんです」
「ほー、ソルディ君かぁ。あいつ良い奴だったんだな。俺が移動中話しかけた時はムスッとして感じ悪かったけどよ」
「良い奴……では無いですよ。ムカつくし」
話している途中でソルディに助けてくへた時のことを思い出した。
確かに良い奴ではない。話しててムカつくし、ウザイし。
でも助けてくれた時は少しだけ格好良かった。
(って僕は何考えてるんだよ。あいつが良い奴なわけないじゃん)
「さて、どうだ? 話して少しは気が楽になったか?」
「はい。ありがとうございます。頑張ります」
「おう! しっかり狩ってくれよな!」
僕とテリルさんとの会話に区切りが着いたところで、フラメさんから洞窟に入るように指示が出た。
「いよいよだな」
「そうですね。でもテリルさんに負けないくらい倒しますからね」
「おぉ面白い。だったら俺もベラくんに負けないくらい狩りまくってやるからな」
僕たちは薄暗い洞窟の中へ足を踏み入れた。
ゴブリンには知性があり、洞窟の壁には等間隔に松明が設置されていた。
前にいる冒険者たちが周りを警戒しつつ慎重に進んでいく。
誰もが息を呑む静かな空間の中、静寂を切り裂く声が前から聞こえた。
「いるぞ」
先頭にいる誰かが小声でゴブリンがいることを報告した。遠くをよく見てみると確かに何かがもぞもぞと動いていた。
「みんな止まれ」
フラメさんの指示で全員が止まった。
「みんないいか? これから戦闘に入る。向こうにゴブリンが一匹いるから、せーので全員で一気に突撃しろ。いっせいに戦闘に入るんだ」
僕たちは頷き、それぞれ武器を手に取り戦闘態勢に入った。
緊張する。不安も恐怖も少しだけある。でも隣にはテリルさんもいる。一応後ろにもあいつがいるから大丈夫だろう。
「いくぞ。せーの!」
「「「うおおおおおおおお!!!!」」」
僕たちはフラメさんの掛け声でいっせいに突撃した。
それに気づいたゴブリンは慌てて逃げていった。
僕たちは追いかけるようにそのまま前進した。すると少し進んだところで空間が広くなったところに着いた。
奥を見ると獣か何かの骨で作られた椅子があり、それに他の個体よりも少し大きなゴブリンが座っていた。
そしてそのゴブリンを守るように、周りには斧や剣を持ったゴブリンたちが殺気立って僕たちのことを待ち受けていた。
「あいつが親玉だ! 周りのゴブリンたちを片付けつつ前進しろ!必ず誰も欠けるなよ!?」
「「「おお!!」」」
フラメさんの鼓舞でみんなの士気が上がったところで突撃した。
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