日食悲話(2009.12.30)
自分にとって今年最大の出来事は、皆既日食だろう。
子供の頃から、日食を見たくて見たくてしょうがなかった。
今年は、ウン十年に一度の皆既日食を国内で見るチャンス。
今年を逃すと、次に国内で見られるのは26年後という。
だから、超人気のツアーに申し込んだ。
抽選の結果・・・、なんと当選!
これで夢が叶うと喜んだのは、ちょうど一年前の事だった。
「やったーっ!当たった、当たった!」
「なになに?宝くじでも当たったの?」
「日食だよ、日食ツアー!」
「日食?なにそれ?」
「夏に日本で皆既日食が見れるんだよ。そのツアーの抽選に当たったんだ」
「勝手に行ってくれば。で、いくらかかるの?」
「船で行くツアーの三人部屋を一室予約するから・・・」
「だからいくら?」
「ごにょごにょ(百二十万円)」
「ひゃ、ひゃくにじゅうまんえん!?」
「予約していい・・・?」
「却下。ダメ。絶対不可!」
それから春まで、女々しく未練をたれる日々が続いた。
「あのツアーの予約、もう一杯だってよ・・・」
「行きたかった・・・」
「今死んだら、化けて出てやるからな・・・」
しかし、妻から、そんなお金どこにあるの!?と反論されると、
言い返せなくなるのも事実だった。
せめて半額だったら・・・
そんな時見つけたのが上海ツアー。
値段は、家族全員で行ってもあの船のツアーの半額。
三ヶ月続けた怨み節の効果もあり、渋る妻をなんとか説き伏せた。
そして2009年7月22日、日食当日。
上海は雨だった。
せめてもの救いは、
オレ以外の家族全員、ただの上海旅行としか思っていなかったことだった・・・
<2009年12月30日投稿>
はてなダイアリー 今週のお題「私の2009年ふりかえり」
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