反おせち同盟(2009.12.16)

師走に食べたいもの、って何だろう?

師走に食べたくないもの、だったら簡単なのに・・・

それは、おせち。

そう言われれば、頷く人も多いだろう。

正月にさんざん食べるものだから、

師走に食べようという人は少ないに違いない。


「マズい・・・、飽きた・・・」

正月になると、毎日、毎日、毎日同じものを食べさせられる。

しかも、昆布だの、数の子だの、オレの嫌いなものばかりだ。

それにもかかわらず、おせち反対派はオレだけだった。

日本古来の風習という魔物が、皆の心を固くする。

「おばあちゃん、これマズいよ・・・」

娘が成長して、やっと仲間が増えた。

反おせち同盟の結成だ。


「お義母さんは作り過ぎるのよ」

妻が別の視点から分析する。

ならば、作り過ぎを阻止する作戦を考えなくてはならない。

「お正月から旅行に行けばいいんじゃない?」

娘が提案する。

流石は同盟参謀!と言いたいところだが、

今年の冬はちと懐が寂しいのが現状だ。


いったいどうすればいいのだろう?

途方に暮れていると、妻が娘に言った。

「あんたが美味しいおせちを作ってあげればいいんだよ」

「え~~~」

娘がふて腐れる。

そうだよ、そうだ。

娘は小六になって、料理を妻から習ってるんじゃないか。

だったら、美味しいおせちを自分流で作ればいいんだよ。

娘よ、今のうちから楽して解決しようなんて、ロクな大人にならないぞ。


「おまえもだよ。そこでニヤニヤしているおまえ!」

妻の言葉で、はっと我に帰る。

えっ、オレも?

娘と一緒におせちを作れとですか?

いや、オレはすでにロクでもない大人だから・・・

なんて言っても、聞いちゃくれない妻だから、

反おせち同盟は現在、おせち推進派への変貌の危機に立たされている・・・




<2019年12月16日投稿>

はてなダイアリー 今週のお題「師走に食べたいもの」

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