タイムカプセル

勝利だギューちゃん

第1話  約束

幼稚園の卒園式の日、当時の友達数人と、

こんな、約束をした。


「ねえ、ここにタイムカプセル埋めようよ」

「タイムカプセルって、何年後かに開けるという、あれ」

「うん、みんなで宝物を入れて、何年後かに開けるんだ」

「面白そう。ねえ、いつ開ける?」

「そうだな・・・成人式の日なんてどう?」

「いいね。手紙だそうか?」

「いらないよ。みんな絶対に忘れない」

「そうだね。やろうやろう」


その時は、成人式の時が楽しみだった。

大人になった、みんなと再会出来るのが、楽しみだった。

絶対に忘れないと思っていた。


でも、幼稚園の頃の記憶なんて、薄れていくもの・・・


その約束なんて、忘れてしまっていた・・・

当時の友達も、ばらならになり、もう、顔も名前も忘れていた・・・


僕も、例外ではなかった・・・


でも、中にはマメな子もいるようで・・・


20歳の成人式が、間近にせまったある日、

1人の女の子から、往復はがきが届いた。


「○○幼稚園、同窓会ご案内」

そう書かれていた。


しかし、正しくは同窓会ではなかった。

そう、「あのタイムカプセルを開こう」という案内。


『前略


○○幼稚園、××組の皆さん。


覚えていますか?

あの時の約束を・・・


タイムカプセルを掘り起こそうと思います。

成人式の約束でしたが、もうばらばらになっているので、すぐには来れないと思います。


そこで、ひなまつりの3月3日に、変更したいと思います。


出席される方は、ご連絡下さい。


では、お待ちしています。


早々


××組、青梅ミネ』


ミネちゃん?

えーと、あっ、この子か・・・


僕は幼稚園の卒園アルバムを引っ張り出して見てみた。


なかなか、はきはきした子だったのを、思い出した。


僕は、出席に○をして、返信をした。


みんなに会うのが楽しみだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る