ショートストーリー [ 空メール ] 管田 来人

 俺らは今、意外な組み合わせで恋バナをしている。


「そういや逞。彩凪さな、好きな人できたらしいぜ。」

 そう逞に言うと、「マジで?!」と目を輝かせながらこっちを見てくる。

「でも、違う組って言ってた。」と言うと、

「はー。こんなに俺はあいつのこと好きなのに、何で伝わらないんだよ。」

 と嘆いている。


 こいつの名前は青山逞あおやまたくま。俺らのグループではリーダー的ポジションにいる。そして、彩凪が好き。


「ピロロロン」

 俺のスマホに、1通のメールが届いた。

 望天のあからだった。

 そこには、

『今週中に逞に告ろうと思うんだけど、その...応援というか、協力してほしい。ダメ?』

 と書かれていた。


 俺は数十秒考えて、

『ごめん。俺、応援はするけど、協力は出来ない。』

 と返した。


 しばらくすると、また望天からメールが来た。

『わかった。頑張るから応援よろしくね。』と書いてあった。


 俺は、なんて返せば正解だったんだろう。

『応援 』。そんなこと、本当はしたくない。

 だって、俺の好きな人は望天なんだから。


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