第8話 俺は普通の高校生では無い様だ。
早くなる鼓動を落ち着かせるために一息つく。
次の瞬間に俺は駆け出した。
そしてゴブリンを突き飛ばす。
転生(?)してから身長的に体重が落ちた気がするが、助走をつけた分衝撃は大きくなって思うように吹っ飛んでくれた。
都合よく木に頭をぶつけ、軽い脳震盪を起こしているゴブリンのお腹目掛けて短剣を突き刺し即時に抜く。
短剣を抜いた際に服に返り血が付いた。
ゴブリンの血は人間と同じ赤色をしており、鉄臭さが辺りに流れる。
ふわふわとした感覚から強烈な痛みによって現実に引き戻されたゴブリンだが、頭の命令に反して体が動かない。
チャンスと思った俺は短剣を逆手に持ち替えてゴブリンの首を掻っ切った。
傷は深くはないけど浅くもない。
これ以上血を浴びるのは衛生的に悪いだろうと思った俺はゴブリンの体を横に倒した。
首から血がどくどくと出ていき、ゴブリンの目から光が失われていく。
初めての人殺しをやったわけだが吐き気を催したりすることは無くて,謎の達成感だけが心の中を飛び回っていた。
そんな自分に対して恐怖を感じた。俺は、異常者だったのかと。
これが異常者でなかったとしたらいったい何なのだろうか。
この世界で常識だったとしても、俺は元々別世界の人間だ。
いくら自分の命を守るためとはいえ人型の相手を殺して、何も感じないというのは普通と言って難がある。
異世界小説の主人公なら当たり前なのだろうな。
なんか、どうでもいいかな。
「俺は『普通の高校生』じゃなかった。それだけのことじゃないか。
別に気にすることでもないし、恐れることもない。自分良ければすべてよしとしよう。」
そう自分に言い聞かせ、そのことについて考えるのを放棄した。
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