第4話距離

「俺昨日の休みにプラン変更してきた」

「うそ?ホントに?」

「うん。気にせず話も出来る。顔も見られる」

突然の彼の行動がとても嬉しかった。


最近では電話をしながら文字での会話も楽しんでいた。

「忙しすぎるよ。ついていけないよ。」「意地悪なんだから」

「俺にいじめられたいくせに」

いつも通りの楽しい時間が流れていた。

その後もいつも通りのメールの会話のはずだった…


今夜は短いメールをやり取りしていく中で、彼の気持ちが離れてしまうような不安がよぎって落ち着いていられなかった。

「愛してるよ」

「私は愛されてますか?」

「愛されてるよ」「でも、あんまりしつこく言われると困る」

「ごめん…わかった」

そこでメールでの会話も終わり、その後彼からのメールは来なかった。

おやすみの言葉もないままだった。

不安な気持ちを抑えながら眠りにつこうとしても、なかなか眠る事が出来ないまま朝を迎えた。


その日は彼からの電話もメールもないまま一日を過ごした。

付き合い始めてこんなことは一度も無かった。

その夜、布団に入った私は携帯をずっと眺めながら眠る事が出来なかった。


ウトウトはしていたのだろう。

また不安な朝を迎えていた。

いつもの時間。メールが入るはずの時間。

私は珈琲を飲みながらドキドキしていた。

「おはよう。桃子」

「おはよう。大介」

私はホッとした。

いつもの時間には電話が鳴り、私は久しぶりに幸せな時間を過ごした。

「桃子と話してるとイライラも吹っ飛ぶな」

「どうして?」

「いじめがいあるしな」

「いじめられたくないよ」

「やめとく?」

「…」

「俺にいじめられて喜んでるくせに」

~考え過ぎだったのかな~

そこにはいつもの彼が居た。

改めて思う。

彼が傍に居るだけで私は幸せなんだと。


正直言うと顔は好みではなかった。

言葉や声から想像していた彼ではなかったけれど、今はただ傍に居て彼と過ごせる事が幸せだった。

彼と過ごせば過ごすほどに本当の自分が目覚めていくようだった。

無理をしないでいい自分がそこに居た。

とても心地よかった。

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