従者型のメリットデメリット

さて、まずは従者型を使うことのメリットとデメリットを考えていこうと思う。


結論から言えば、従者型を使うメリットは「RPが楽しいから」と言うものに帰結する。

経験点が無尽蔵にあるならば、「複数回行動が強い」と言うものも大きくなってくるが、初期作成フルスクラッチの130点でそこを輝かせるのはかなり難しい。

また、従者型を使う時のデメリットは、つまり「従者型である必要が無い」場合が多いことである。他の構成でも「ハヌマーン(またはウロボロス)で良くね?」と言われることがあるのだ、従者型が言われない訳はない。


このことによって、我々は従者型を作るにあたり、従者型を作ってどんな風にRPを楽しみたいのか、と言うことを考える必要がある。基本的に従者型では他の構成と並ぶことは出来ても上回るのは難しい。筆者も初期作成で従者型が他を上回っていると思える構成は少ない。だが、無いわけではない。


次の話からは従者型でできる構成を定義してから、実際の作成についての話へ移っていく。実際の作成では間違いなく経験点不足に悩まされるので、楽しみにしておいてくれ。




さて、以下は上記の結論になった理由である。無駄に長いので読まなくても構わない。


まずメリットから。


最も大きいメリットは実質的な行動回数の増加だろう。《声なきものども》が無くても、1ラウンド目を使うだけで2ラウンド目から2回行動が可能になるのである。また、《愚者の軍団》を使うことで行動回数をさらに増やしたり、《血の絆》を使うことで1ラウンド目の行動不能を無くすこともできる。これは従者型にしかなし得ないことであり、従者を使わずに従者型ほどの再行動を行うことは出来ない。


行動回数が増える、と言うことは対象に選べる数が増える、と言うことでもある。《要の陣形》などが対象増加エフェクトの代表としてあげられるが、従者ならば《要の陣形》のような回数制限は存在しないし、さらに言えばシンドロームエフェクトじゃないので組み合わせ制限も存在しない。


また、作成者が後衛に居ても従者が前に出れば射程:至近のエフェクトでも使用可能であることから、従者は射程を伸ばすこともできる、と言えないだろうか。

ハヌマーンの《かまいたち》やソラリスの《タブレット》は射程延長エフェクトとして分かりやすい効果を持っているが、従者ならばそれらのような攻撃力低下や回数制限のデメリットは存在しない。ただし、従者だけでは射程:視界に勝ることはできないので、そこは留意すべきだろう。


さらに、従者型では他の型ではできないオンリーワンなRPができることもメリットに入るだろう。RPは戦闘以外だけで良いと言う人には《裸の王様》があるので、そう言う人にはメリットにならないかもしれないが、そう言う人はここら辺で従者型を作るのをやめた方が吉である。


ここまでのメリットを見て「え?結構良さそうじゃん」と思ってしまった人にはメリットだけ見れば、と伝えておこう。そう、従者型が使われないのはメリットが少ないからではなくデメリットが多すぎるからなのである。


ではデメリットを見ていこう。


まず最も大きなデメリットは大量の経験点を使用する、ということである。当たり前だが《赤色の従者》をレベル1で取れば15点、さらに《声なきものども》を取れば30点、加えて《愚者の兵装》を取れば45点ぶん経験点を消費することになる。

130点しか経験点を使用できない初期作成では致命的なデメリットであり、従者型を作ろうとした人間が最初にぶち当たる壁と言っても過言ではないだろう。


次に大きいのはHPが0になった瞬間消滅することだろう。例えば《血の絆》と《赤河の従僕》を使用して1ラウンド目の最初に従者が行動できるように整えておいたとしても、敵が《加速する刻》を使用して従者を攻撃し、消滅させてしまえば全て無意味なのである。

……ただ、さすがに対象:単体でそんなことをするGMは少ないだろう。しかし、クライマックスフェイズの戦闘の最初を範囲攻撃で飾り、緊張感を演出するGMは多いし、大抵の場合シナリオボスは範囲攻撃を持っている。基本ルールブック1のサンプルシナリオのボスでさえ持っているため、範囲攻撃を持っていないことを祈るのは得策ではない。

HPを上昇させるエフェクトのレベルを上げ、装甲点やガード値を増やすことで対策はできる。だが、エフェクトのレベルを上げるにも装甲点を増やすにも経験点が必要なことは明白だ。そう、ここで先程のデメリットが出てくるのである。

ちなみに、装甲点を増やしても無意味なこともある。そう、《サイレンの魔女》である。 シナリオのボスが《サイレンの魔女》レベル5を使用し、ドッジに失敗した瞬間赤色の従者レベル1で作成した従者は消滅するのだ。《声なきものども》でたくさん作っておいても対象:シーン(選択)の《サイレンの魔女》に対しては無力である。

《サイレンの魔女》はアタッカー役の従者型使いにとっての最終課題であり、目の上のたんこぶである。従者型で《サイレンの魔女》を使う場合は他の《サイレンの魔女》を使う構成が最終課題になるだろう。もし今あなたが《サイレンの魔女》を使った構成を考えているならば、ぜひとも従者型に憐れみを感じながら作って欲しい。


さて、終わりそうな書き方をしたが、まだデメリットは終わりではない。

3つ目のデメリットはRP面以外で従者型を使うメリットが薄いことである。メリットについては上で書いたが、そのメリットたちは実はかなり弱いのである。


対象増加と射程延長については少し考えれば分かるだろう。そう、デメリットを含めてもそれぞれの対象増加射程延長エフェクトで十分なのである。

例えば、《要の陣形》を使えばレベル1で3体に対してエフェクトを使うことができるのに対し、従者型だと少なくとも《赤色の従者》と《声なきものども》と言う2つのエフェクトが必要になる。現実的に考えれば《血の絆》か《愚者の軍団》も必要だろう。

例えば、《かまいたち》を使えばどんな攻撃でも遠くまで届けられるが、従者型では一定以上射程を伸ばすのは不可能に近い。


また、複数回行動についても同じようなことが言える。前述の通り、複数ラウンドに渡っての3回以上の複数回行動は従者型にしか出来ないことだ。これは回数制限撤廃エフェクトが追加されない限り揺るがないだろう。

しかし、従者型の再行動には大きな穴がある。そう、従者が消滅してしまえば再行動できないのだ。むしろ《赤色の従者》を使った分行動回数が減るまである。

そうなってくれば、《時間凍結》で安定して再行動した方が良くないか、と言う発想になるのは当然だろう。上級ルールブックのDロイス「触媒カタリスト」を使えば、デメリットほぼゼロで再行動させることもできる。


以上の通りデータ面で推すことのできるメリットはせいぜい上手く使ってたくさん複数回行動を出来たら強いよ、ぐらいしか無い。

だが、逆にRP的なメリットがとても大きいことは言わずと知れたことだろう。筆者としても、従者型を使うのはRP面の面白さがほとんどを占めている。


さて、ここまで読んだなら、お疲れ様である。特にこの後書くことは無いので、そのまま次の話へどうぞ。

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