アノレクシアキッチン

世界に小さじ一杯の悪意があれば、この世界は悪だ

交通事故も災害も戦争も嫌なのに、哀しいのに

どこか映画みたいで眠ったら忘れちゃうんだ


世界に染まって煮込まれたから、僕は偽善だ

淡々と読まれる死者の名前もどこか記号みたいで

エンドロールに流れるキャストみたいだと思った


こんなに世界が大好きなのに、僕は世界を愛せない

美しいのは調理済みだからにきまってる

きっと灰汁を取り除いた後

見えないように蓋をするんだ


バケツいっぱいの愛があれば、世界は救われる

なんて嘘だ

僕の正義は誰かにとっての悪だ

好き嫌いはどうにかできるんだろうか

皆が笑って平和なんてきっとないんだ


大さじ一杯の愛があれば、世界は少しでも変わるだろうか

本当は君さえ幸せにできたらそれでいいんだ

最低な僕は愛を謳う

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