明日の予定は。

ヨタ

第1話 明日の予定は。

最初は何気ない一言で、気づかなかったのは何もおかしいことじゃ無かったはずだったんだ。

でも、あの時気づいていれば何かできたのではないかと思ってしまうんだ。



「ねぇ。明日学校何時に終わるんだっけ?」

親友のミサキが言った。明日は授業が半日で終わるということで、今日はいつもよりも帰りが遅かったのにもかかわらず周りの雰囲気は高揚していた。

「たぶん、十二時半くらいじゃないかな」

僕は予測できる事態を考えて、遅めに時間をミサキに提示した。

「じゃあさ、二人でカラオケ行かない?テストも終わったし、気晴らしっていうかお祝いしようよ」

「あー。いいな、それ」

「でしょ。だから、明日学校終わったらそのまま行こう」

僕とミサキは幼馴染であって、付き合っているわけではない。

ても、高校になってまで仲がいいのはやっぱり馬があったからという理由で説明されるんだろうなと度々思う。

「あ。でも、なんか予定入ってた気がする」

「何それ。自分のことなのに忘れてるの?」

彼女はケラケラと笑った。

夕焼けのオレンジが顔にうつされて、不覚にも綺麗だなと思ってしまう。

「笑うなよ。家で確認してから、連絡すっから」

「りょーかい!じゃ、忘れないようにね」

「ああ。じゃあな」

「また明日ね」

互いに手を振って、それぞれ自分の家の扉を押した。


ご飯やお風呂などからひと段落ついて、カレンダーを見る。

やはり明日は予定が入っていた。間違いなく自分の文字で赤いペンで清掃委員会と書き込まれていた。せっかく早く帰れるのに、強制参加しないといけないなんて先生は何を考えているんだろうと同じ委員会の中村とあれだけ愚痴っていたのになぜ忘れていたんだろう。

まぁ、まだサボったわけじゃないしいいだろう。

僕はミサキに電話をかけた。

ニコール目でミサキが出た。

『もしもし〜?』

彼女は少し眠そうだ。

「僕だよ。帰りに言ってた明日のカラオケだけど、明日は放課後委員会があった」

『えー、まじで?どれくらいかかる?』

「いつもの感じでいったら三十分くらいじゃないかな」

『りょーかい。それまで待っててあげるから缶ジュース一本、奢りね』

待たせるのに料金が発生すんのか……

「マジかよ…あー。わかった」

『よっしゃ。じゃあ、楽しみにしてるね』

「どっちをだよ?」

『缶ジュースもカラオケも両方』

「はい、はい。じゃ、おやすみ」

『んー、おやすみ』

必要なことはやり終えたので、僕は布団に入ってそのまま寝てしまった。


やっぱり、あの時違和感に気付けば何かが変わっていたような気がする。

やっぱり、あのとき僕は気づいておくべきだったんだ。



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