覆面作家~Anonymous Writer

深月珂冶

覆面作家~依頼人

「報酬は、依頼が成功してからで良いですか?」

 目の前の高そうなスーツを羽織った男が言った。男は黒髪の短髪で、目鼻立ちが良く整った顔だ。


「はい」探偵の白鳥優子しらとりゆうこは男に答えた。依頼人の名前は、秋山大翔あきやまひろと。大手企業の秋山グループの御曹司だ。そんな彼が依頼してきたのは、「ストーカー被害」だった。

 先月に入ってから後を着けられたり、不審な手紙が送りつけられたらしい。

 その犯人は、推理作家の「冬山つばさ」だった。警察沙汰になる前に、私立探偵の白鳥優子に解決してもらいたいとのことだ。

秋山は冬山つばさと同級生だったらしい。


冬山つばさはそれなりにヒット作を出しているが、デビュー以来、一切顔を出さないことで有名だ。

ネット上にも雑誌にも本人の写真や、本人の情報が並ぶこともない。覆面作家だ。

 

 だから、今回の依頼は驚くべきことでもあり、白鳥にとっては興味深いことだった。

冬山の作品は社会派ミステリーだ。社会に鋭い切り込みを入れ、問題を提起する、そのジャンルでは一目を置かれている作家だ。

白鳥は今回の件と、冬山の作風を考えると違和感を感じた。しかし、白鳥はますます、この依頼に興味を示した。秋山は言う。


「これです。これは僕の家に先月届きました。僕には婚約している人がいます。その女性に被害が来る前に解決したいんです」

 秋山は自分の鞄から一通の手紙を差し出した。

封筒から手紙を取り出す。白鳥は秋山の説明を真剣に聞く。白鳥はその手紙を見る。

手紙には次のように書かれていた。



覆面作家~依頼人 (了)

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